本ページでは、SAPの世界でよく耳にするSAP NOTE(ノート)とは何か?を初心者向けに分かりやすく解説します。
SAP NOTEは簡単に言うと、SAPの不具合に対応する方法をまとめた文書(厳密はそれだけではない)+プログラムの修正資源(パッチ)のことを総評して呼んでいるものです。
このページでは、様々な意味で利用されるSAP NOTEを文脈や歴史的な背景を踏まえながらそれぞれに分類して解説。ページ後半では、SAP NOTEの適用方法をご説明します。
SAPエンジニアを目指す方であれば知っておきたい超有用な基本情報です。是非最後までご覧ください。
SAP NOTEとは?
SAPも1つのシステムである以上、必ず不具合(バグ)や法改正対応等、必須のシステム変更が発生します。新しい業務データを投入するとエラーになる、新しい法律が施行され新たにチェック機能を追加せざるを得ない・・・
その際、「どのようにバグを修正すればよいか?」「どのようにプログラムを改修すればよいか?」というようなものをまとめたのがSAP NOTEです。
「プログラム〇〇の何行目に■■のロジックを挿入しなさい」「トランザクションコード〇〇を利用して■■して・・・・」等の具体的な指示がそこには記載されているイメージ。
不具合が見つかったらまずはNOTEを検索してそこに記載されている通りに対応を進めればバグが解消するという流れです。
バグ改修だけではない「SAP NOTE」
SAP NOTEというと、不具合対応のためだけのものかと思われがちなのですが、実はそんなことはありません。
中には「難しい機能の使い方(FAQ)」や「パフォーマンス改善の方法」などとにかく種類は豊富に存在。何かに困ったらとりあえずSAP NOTEを検索してみると良いでしょう。
SAP NOTEの適用方法:SNOTE
NOTEの適用形式は大きく分けて2種類存在します。
- SNOTE
トランザクションコード:SNOTEを利用してパッチファイル「SAR」ファイルを適用する方法。 - マニュアル調整
NOTEに記載の通りに、ソースコードを修正したりカスタマイズを変更する方法。
現在では、SNOTEでパッチファイルを適用するだけでNOTE適用完了となるのが主なケースですが、まれにマニュアル調整が必要になる場合もあります。
両方のやり方をマスターしておく必要があります。
SNOTE:ノートアシスタント
SNOTEを利用する際にはまず適用するNOTEをダウンロードする必要があります。以下の手順でダウンロードが可能です。
SNOTE > メニュー > ジャンプ > SAPノートダウンロード
SAPから直接NOTEをダウンロードできるのは基盤側で事前に設定を行っている環境のみです。そのため、セキュリティ方針などが理由で直接NOTEをダウンロードできない場合も存在します。
その場合は、SAP Portal上でNOTE検索の上、画面右上のダウンロードボタンからパッチファイルをダウンロードの上、アップロードを手動で行う必要があります。
SNOTE > メニュー > ジャンプ > SAPノートアップロード
続いて、ダウンロードしたNOTEを適用します。
適用も非常に簡単。以下のメニューから辿って実行ボタンを押すだけで適用が完了します。
SNOTE > メニュー > ジャンプ > SAPノートブラウザ
適用可能なNOTEが一覧で表示されるため、対象のNOTEを選択し実行するだけ。これだけでNOTE適用が完了です。
マニュアル調整(マニュアルNOTE)
SAPのNOTEページの右上「Manual Activities」という欄がありますが、ここが「1」以上の数字の場合は本章で説明するように何らかの対応を手動で行う必要があります。
上記「Corrections」はSNOTEから適用するNOTE(パッチファイル)の数。「Prerequisites」はNOTEを適用する際に必要となる前提NOTE(詳しくは後述)の数を表します。
例示したNOTEの場合、SNOTEからのNOTE適用+マニュアル調整が必要となります。
マニュアル調整のやり方は、NOTE上に詳しく説明がされているのに加え、最近では動画でマニュアル調整のやり方が紹介されている場合があります。決して特殊なスキルを必要とする作業ではありませんので、ご安心ください。
NOTE適用の際の留意事項
NOTEを適用する際に知っておきたい留意事項を2点補足します。
NOTEには前提NOTEが存在する
あるNOTEを適用する際に、そのNOTEの前提となるNOTEが存在する場合があります。これらの前提NOTEをすべて適用していないと、NOTEを適用することはできません。
前提NOTEがあるかどうかは、SAP Portal上で確認することも可能ですが、SNOTEからNOTEを適用する際に必要となる前提NOTEをSAPがサジェストしてくれますので、万が一の心配は不要です。
ただし、前提となっているNOTEにもさらに前提となるNOTEが存在する場合なども存在するため、1つのNOTE適用を行うために複数のNOTEを事前に適用する必要があるものだと理解しておくことが重要です。
SNOTEで適用したNOTEは取り消し可能
SNOTEの一番便利な機能がこれ。
SNOTE経由で適用したNOTEはすべて取り消し可能です。つまり、一度適用してみて思わぬところに影響が出てしまった・・・解消したいバグが解消されなかった・・・というようなときは、そのNOTEをなかったことにすることができます。
本当にこのNOTEを適用して良いかどうか判断がつかない・・・
そんな時でも、SNOTEから適用するNOTEであれば取り消しは可能なので、試しにNOTEを適用してみる!みたいなこともできてしまいます。
取り消しができるのはあくまでも「SNOTE経由で適用した」NOTEのみです。例えば、マニュアルNOTEを取り消すにはすべて自分で基に戻す必要があります。
また、SAPコンサルの方でも勘違いしやすい部分ですが、移送で適用したNOTEはもとに戻すことはできません。
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