SAPとは何か―IT初心者向けにわかりやすく【3分ぐらいで読めます】

SAP

このページは

SAPって何?

SAPとERPって何が違うの?

SAPはどんなシステムで何ができるの?

という素朴な疑問をお持ちの方向けに「SAPとは何か」を「社会人歴 = SAPエンジニア」が解説していきます。(専門用語はできるだけ使いません!

入社・転職したばかりで、急にSAPを知る必要が出てきた人や、初めてSAPを触る人でも「5分で理解」できるように要点を絞って解説します。

このページで学べる内容
  • SAPとは何か?
  • ERP(Enterprise Resources Planning)とは何か?
  • ERPパッケージの誕生
  • SAPは何ができるのか?SAPが導入されるまで

SAPが何なのかを知りたい人であれば、絶対に役立つ内容ばかりですので是非最後までご覧ください。

SAPとは何か?

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「SAP」を簡潔に一言で説明すると

「SAP社」が製造する「ERP」製品のこと

となります。

こう説明されてしまうと分かりづらいんですよね。これが、SAPを難しく感じてしまう最初の壁です。

この最初の壁を超えるために、まずはSAPを正しく理解するために前提となる知識から整理していきましょう。

まずは最初の前提知識―。「ERP」という用語の意味から解説します。

前提:「ERP」とは何か?

ERP(英: Enterprise Resource Planning)は何か?

誤解を恐れずに言えば「全部門共通システム」のことを指し示します。

では「全部門共通システム」とは何か?企業におけるシステム利用の歴史を辿りながら解説していきます。

※語弊を恐れて正しい説明を心掛けると「企業資源計画 」という意味不明な言葉になるので、ここではあえて「全部門共通システム」と説明します。企業資源計画の意味についてはページ後半で解説します。

ERP誕生前:個別最適化の時代

システム黎明期の昔は今とは違い、会社全体で1つのシステム開発を行うというわけではありませんでした。(もちろん例外も存在していました。)

経理部門であれば経理部門単独の「経理システム」を持ち、人事部門であれば人事部門独自の「人事給与システム」を持ち、また調達部門は調達部門独自の「調達管理システム」を持つなど、各部門単独で業務を最適化することに努めていというのがシステム開発の歴史です。

下記の図で表す通り、システム開発の黎明期は部門単位でのシステム開発・運用が主流でした。

経理部門であれば経理部門単独の「経理システム」を持ち、人事部門であれば人事部門独自の「人事給与システム」を持ち、また調達部門は調達部門独自の「調達管理システム」を持つなど、各部門単独で業務を最適化することに努めていたというのがシステム開発の歴史です。
「個別最適化」されたシステム

システムの力を部門単位の業務最適化に利用することで、各部門の業務効率の向上を目指し一定の成果を上げました。

部門単独システムの限界:全体最適化へ

しかしながら、部門最適化したシステムでは、会社全体で見た時には非効率な側面も存在していました。

その最たる例が、部門間の情報・データ共有です。

嘘のような本当の話ですが、調達システムで購入した物品の金額を「印刷して経理部門に手渡す―。」「USBメモリに入れて渡す―。」「メールで送付する―。」それらのデータを受け取った経理部門は「手入力で経理システムに打ち込みなおしたり」「独自の取り込みツールを作ったり」ということがありました。

部門単独で完結する業務は多くはありませんので、結果として効率化されない業務が多分に存在していました。言い方を変えれば、部門内では最適化された業務を遂行している一方で、部門をまたがって業務を行う必要がある場合は、完全に最適化しきれていなかったのです。

そんな欠点を補うために考え出されたのが「ERP」という概念です。

調達システムと経理システムを一緒にして、自動的に転記できるようにしよう!

調達システムに在庫管理システムをくっつけで、いつでもを在庫量をみれるようにしよう!

みたいな、システムを統合することのメリットを強く意識して生み出されたのが「ERP」という概念なのです。個別に機能していたシステムを、会社全体で1つのシステムに統合する考えです。

【イメージ図】ERPパッケージのシステム構成

「ERP = 全体最適化したシステム」であると理解しておきましょう。

ERPについてさらに深堀して学習したい方は、以下のリンクからどうぞ。

ERPとは?―IT初心者に分かりやすく

ERP = 企業全体で資源を管理するシステム

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先ほど、ERPシステムを「全部門共通システム」と説明しましたが、より丁寧に説明するのであれば

企業全体の資源(人・もの・金・情報)を管理するシステム」

となります。企業内で発生するありとあらゆるデータを一元的に管理することによって、業務の最適化につなげていくという考えです。

この考えを踏まえるとERPの一般的な説明が「企業資源計画」となるのもうなずけるはずです。

いずれにせよ「企業全体の資源を管理するシステム」であればERPシステムと呼んでOKです。

ERPパッケージの誕生

考えてみると当然なのですが、企業全体のシステムを作るのは決して簡単ではありません。一からERPを作るのは非常に難しいことです。部門ごとではなく、全社一斉にシステム開発を開始する、という時点で足並みをそろえるだけでも困難ですので、 システム開発の時間はかなり長期化する傾向にあります。

その困難に目を向けビジネスの商機を見出した企業が今でいう「ERPベンダー」です。

「ERPシステムをパッケージ化すればよいのではないか・・・?」

ERPをパッケージとして(つまりERPを1つのソフトウェア・アプリケーションとして)各社に展開できるようにしておけば、いろんな企業が買ってくれるのではないか?

会社にとっても、無駄に一から開発するのではなく、1つの製品としてサーバにインストールするだけでERPシステムの導入ができたほうがはるかに楽です。

そうした流れの中で生み出されたERPのパッケージ製品が、SAP(SAP社)であり、Oracle EBS(オラクル社)なのです。

これで最初の解説の意味が分かるようになります。

SAPとは 「SAP社」が製造する「ERP」製品のこと なのです。

更にSAPをわかりやすく説明すると

SAPをさらに具体的にイメージできるように、モジュールという概念を解説します。

簡単に言えばモジュールとは「機能の集まり」です。

先ほど説明したように、ERPは「企業全体システム」ですが、分解していけば1つ1つの部門単位の機能に分けられます。

会計システム + 調達システム + 在庫管理システム + ・・・・ = ERP

みたいな感じでしょうか。この「会計システム」とか「調達システム」みたいな部分をSAP用語では「モジュール」と呼んでいます。

SAPを導入する際には、このモジュール単位で使うか使わないかを決めることができるので、ここからはSAPの代表的なモジュールについていくつか解説していきます。

※「SAPをインストールする=全モジュールが同時にインストールされる」ことになりますが、利用するにはパラメータの設定(カスタマイズ)が必要になります。パラメータの設定が完了しないと、基本的にモジュールの利用ができません。

FI( Financial Accounting ):財務会計

いわゆる「会計システム」です。そしてSAPの花形(だと理解する人が多い)です。

FIが花形だといわれるのは、企業の最終的な業務データは全てこのFIモジュールに流れてくるためです。(すなわち、すべての業務に対するある程度の理解が必要となり、難易度が高くなります。)

調達したらお金を払いますし、ものが売れればお金をもらいます。人を雇えば、給料が発生します。それらのデータがリアルタイムにFIモジュールに流れてくることになります。

なので、SAPを導入する際にFIモジュールを利用しない企業はほぼない、と言えることができます。

経理部、財務部などが主な利用想定ユーザです。

CO( Controling ):管理会計

管理会計をつかさどるモジュールです。

FIモジュールが財務諸表などの外部向けの報告書を作成することを目的とするのに対して、COは「内部向けの報告書」を作ることを目的とします。

すなわち部門単位の業績管理や、間接費の管理などを主な目的とします。

COとFIの違いについては以下の記事で詳しく解説しておきましたので、是非お読みください。

COモジュールも他のモジュールと同様、リアルタイムに全業務のデータが連携されてきます。

SD( Sales and Distribution ):販売管理

いわゆる「販売管理システム」です。

注文を受けてから、商品を出荷するまでを管理するのが主な目的です。

どの会社・人に注文を受けて、何を出荷するのか?

その出荷製品はいくらで、請求書はどこにどんなフォーマットで送れば良いのか?

などを管理するモジュールです。

もちろんモノを売れば代金を受け取りますが、SAPはERPシステムなので、売り上げのデータがFIモジュールに自動的に流れていきます。

MM( Material Management ): 在庫購買管理

いわゆる「在庫管理システム」「調達管理システム」です。

SDモジュールが「売る側」だとすれば、MMモジュールは「買う側」です。

どこに何を発注したのか?

どれぐらいの値段で発注するのか?

今在庫はどれぐらいあるのか?

などを管理します。

発注金額や、在庫量データは財務諸表に関わってくるのでこれも自動的にFIモジュールに流れていきます。

SAPを導入するには?

さて、ここまでで何となくSAPが何者であるかが分かってきたのではないでしょうか?SAPはSAP社が製造しているERP製品であり、複数のモジュールから成り立っていることを説明してきました。

そしてこの最後の章では、SAPを導入する際の流れを解説しておきます。

「え、SAPってパッケージなんだからすぐ利用できるんじゃないの?」

ここまでの解説ではこんな疑問を抱いてしまうかもしれませんが、それは誤解です。SAPはインストールするだけでは利用できません。簡潔に言えば「導入する企業に合わせた設定」が必要になってきます。この設定のイメージまで付けばSAPという製品の全体像が見えてきます。

「導入する企業に合わせた設定」 は次の2ステップで行われます。

コンフィグ(カスタマイズ)

ABAP開発(アドオン開発)

以下、それぞれの具体的な作業イメージを説明していきます。

コンフィグ(カスタマイズ)

コンフィグとは、コンフィグレーションの略で、別名カスタマイズとも呼ばれます。もしくは「パラメータ設定」とも呼ばれます。

この作業では、SAPが事前に用意している設定項目を一つずつ設定していくことになります。

コンフィグの代表的なものを挙げるだけでも、「会社名」や「所在地」といった基本的なものから「消費税の設定」「伝票の項目」など実際の業務に密に関連してくるものまで幅広く存在します。

SAPのすごいところは「そんなものまで設定できるの?」というほど、設定項目が充実しているところです。この幅広さが、世界中の企業に採用されている大きな理由の1つになっています。逆に言えば、この設定が難解なものになってくるため、SAPコンサルなどの専門職が必要になってきます。

この設定を隅々まで知り尽くしているSAPエンジニアが、導入時に活躍することになります。

ABAP開発(アドオン開発)

コンフィグ(SAPの設定)だけではどうしても実現できない機能を追加する作業です。SAP専用のABAP(Advanced Business Application Programming)と呼ばれるプログラミング言語を用いて、独自の機能を追加していきます。

SAP導入時に一番大変な作業がこの工程です。

なぜなら、ABAP開発がなければ「バグ」がほとんど生まれないからです。SAPを導入している企業で、もし不具合やバグが起きているとすればそれは95%はこのABAP開発が原因といえます。(例外はあります。)

ABAP開発では、SAPの標準仕様に加えてABAPの知識が必要になるため、開発費用がかさみます。

FAQ:SAPとERPの違い

よくある質問の1つ「SAPとERPは何が違うのか?」というものがあります。たぶん、どちらも英語3文字で似たような概念のため混乱してしまう人が多いものと推測されます。

ただ、ここまでお読みになった方なら答えは簡単にわかりますね。答えは、

「SAP ⇒ SAP社のERPパッケージの製品名称

「ERP ⇒ 企業全体システムのこと

です。「SAP」と「ERP」は似ているものの、概念は異なりますので正確に理解しておくことが重要です。

そのうえで、SAPはERPパッケージの製品名称であるので、その意味では

SAP ≒ ERP

である、ということも可能です。あくまでも、SAPは会社名・製品名であり、ERPは全社システムの総称であることを理解しておきましょう。

SAPをもっと詳しく知りたい方は

本記事で、SAPが何なのか?はなんとなくイメージできたのではないでしょうか?

以下のページでは、開発者の視点からSAP導入のメリット・デメリットについて解説しておりますので、お時間がある方は合わせてお読みください。

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