IT-Skills

ERPとは?―IT初心者に分かりやすく

システムエンジニアになりたての人や、会社でシステムを利用する業務に携わる人にとって、いまいちイメージしづらいのが「ERP」です。

ERPを一言で言ってしまうとEnterprise(企業)Resource(資源) Planning(計画)」の略です。

Enterprise(企業)Resource(資源) Planning(計画) とは、ヒト・モノ・カネ・情報という経営資源を会社全体で有効活用する観点から、企業の基幹業務(調達、生産、物流、販売、会計、人事)の情報を統合的に管理し経営の効率化を図るための手法、概念のことを指します。

と、言われてもよくわかりませんよね・・・

このページでは、ERPって実際何なの?というのをできるだけ「専門用語を使わずに」解説します。

ゴールはERPという言葉のイメージを自力で思い描けるようになること、そしてそれを人に語れるようになることです。

それでは解説を始めます。

ERPの言葉の意味

まずは、ERPという本来の言葉の意味から解説していきます。

本来の「ERP」の意味は、企業資源計画という概念を表します。決して、システムを指す言葉ではありませんでした。

企業資源計画というのは、それまでの企業が資源を有効に活用できていない現状の中で提唱され始めた言葉であり、企業全体で資源を有効に活用していきましょう!という概念です。

一体どういうことなのか、企業の情報管理(≒システム開発)の歴史を一昔前まで遡って考えてみましょう。

部門単位システムの時代:部分最適

従前の企業システムは、基本的に部門単位で開発・導入されていました。

上記図からわかる通り、一つの会社内に複数のシステムが存在している状況です。

経理部門なら「経理システム」、製造部門であれば「製造管理システム」という形で部門ごとに独自のシステムを導入しておりました。

部門単位システムのデメリット

部門単独システムはそれまでIT化されていなかった各種業務を迅速に遂行できるにした点で大きな功績があります。ただし、情報管理・業務観点から大きく3つのデメリットが存在する仕組みでした。

リアルタイムの情報把握が困難

1つが、リアルタイムで「企業全体」のヒト・モノ・カネの情報を把握できない、ということです。

部門単位のシステムでは、システムごとにデータを保持しているため、データの連携に時間がかかります。(1時間に1回、1日に1回というようにデータ連携タイミングをスケジューリングしていました。)

例えば、今すぐに「売掛金(会社としての売り上げ状況)」を知りたいとなった場合は、①経理システムの仕訳情報から売掛金データを集計し、②販売管理システムの売り上げ情報を集計するという2段階の処理を行う必要が出てきます。

どれだけ売れているのか?という分析がリアルタイムにできないと、どれだけ製品を作れば最適なのか?という情報が分かりません。

多く作りすぎてしまうかもしれませんし、品切れを起こしてしまうかもしれません。製造部門は頑張ってデータを集めるか、勘と経験に頼るしかありません。

リアルタイムにデータを把握できないというのは多くの企業にとって実に致命的なのです。

システム間のデータ不整合

2つ目は、システム間のデータ不整合が起こりやすいということです。

販売管理システムと、製造管理システムは別々のシステムなので、データの持ち方が異なります。

販売管理システムが「1,000円」、製造管理システムは「¥1,000」という風にお金を管理しているとしましょう。

この場合、データ連携の前に「データの加工」が必要になりますよね。データの加工はシステム的に処理を行うのですが、この処理のバグで「1,000円」が「10,000円」になってしまったり、文字化けしてしまったりすることが多々あります。

そうすると、本当は1000円なの?10000円なの?というのが分からなくなってしまい、その真偽を確かめるために大変な労力が必要となってくるのです。これが部門単位システムの二つ目の不具合です。

データの二重・三重入力が必要になってくる

最後が、システムユーザが一番嫌がるものです。それが、同じデータを複数の箇所に入力する必要がある、ということです。

商品が10個売れた―。

この場合、販売管理システムに「商品10個の売り上げ」情報を入力しますが、同時に経理システムにも「売掛金(商品10個の売り上げ)」を入力する必要が出てきます。

また、例えば販売管理をするために必要となる「得意先」に代表される「マスタデータ管理」も2つのシステムで同時に行う必要があります。

同じ情報を2つのシステムにそれぞれ別に入力する。これめんどくさいですよね。2つが正しく入力されていれば良いですが、どっちかが違っていたら・・・?

このように、部門単独システムは部門単位での業務最適化に成功する一方で、企業全体で見た時に多くの弊害を抱えていたのでした。

企業全体でヒト・モノ・カネの情報管理を最適化する必要がある!

その概念が「ERP」です。

次の章では、ERPパッケージの概念と、ERPシステムの構成とメリットを解説していきます。

ERPパッケージとは:全体最適

パッケージとは「標準的な機能を持つ出来合いのシステム」です。

パッケージはサーバーにインストールをすれば最小限の設定だけで使えるようにしてあるシステム製品であり、これは様々なソフトウェアベンダ―によって製作・販売されています。

ERPパッケージというのは、企業全体でのヒト・モノ・カネの管理(ERP)ができるシステムのことを表します。

代表的なのが、SAP社が開発・販売するSAPであり、Oracle社が開発・販売するOracle EBSです。

それらをERPシステムと呼んだり、単にERPと呼んだりしているのです。

ERPパッケージの構成

部門単位システムと比較して、ERPパッケージの構成はどのようになっているのか?

ここまで読んでいただいた方は大体の想像がつくかと思いますが、以下に図を載せておきます。

もうお分かりですね。企業内の全てのシステムを一つにまとめたような構成をしています。

ERPパッケージのメリット

システムとデータを企業で1つに集約し、全ての業務に対応しており、各種マスタも1つに集約されています。

経理部門も販売部門も全て同じマスタデータを参照できるよに調整されているのがお分かりいただけるかと思います。

ERPシステムのメリットは、部門単位システムのデメリットの裏返しになります。

リアルタイムに情報を把握できる

経理システム、販売管理システム・・・のようにシステムが分離していないため、情報が一元管理されています。

そのため、企業内のあらゆる情報を即時に把握することができます。

在庫、販売量、売上金額など、相互に情報が連携されていくので、企業全体での業務量の調整や、今後のアクションプランを描きやすくなります。

作りすぎたり、在庫切れになったり、、、ということを防ぐことに役立ちます。

データ不整合が起きない

データ連携が不要になるので、ERPパッケージ内でのデータ不整合が起きません。

データの複数入力が不要

業務処理ごとにデータがERPパッケージ内で連動します。

そのため、1つの売り上げデータに対し、販売管理システムと経理システムへの重複入力が不要です。販売部門で売り上げデータを入力すれば、自動的にデータ処理が連動し経理側でもデータを即時に参照することができます。

まとめ

ERPは、こういう仕組みだ!と一言では説明できません。

それはERPという言葉が概念的なものであるためです。

ERPと一口に言っても、パッケージ(SAPやOracleEBS)ごとに、基本思想が異なるため、具体的にどんな設計がされているかを説明するのは難しいのです。

ただし、ERPという概念を知っておけば、「ERPシステムが~」というような話についていけるようになるはずです。

ERPは「こういう感じのモノだ」という理解をこのページでしていただけていれば幸いです。