ガベージコレクション(GC)とは、コンピュータプログラミングにおいて使われなくなったメモリ(プログラムがデータを一時的に保存するために使用するスペース)を自動で探し出して、そのスペースを再利用可能にする仕組みのこと。
例えば、あなたが部屋でプラモデルを作るとします。作業を進めるうちに、使わなくなった材料や道具が部屋の中に散らばっていきます。もしこれらをそのままにしておくと部屋はごちゃごちゃして、新しい物を作るスペースがなくなってしまいます。
ここで、もし誰かが定期的に部屋を掃除して不要な物を片付けてくれれば、あなたはスムーズに作業を続けることができるようになるでしょう。この「部屋の掃除」のような役割をコンピュータ上で実施してくれるのがガベージコレクションです。
このページでは「そもそもメモリって何?」という人でもガベージコレクションの役割がわかるように丁寧にさくっとご説明します。
ガベージコレクションとは?
ガベージコレクションを理解するために、まずは「メモリ」というものを簡単に説明します。
メモリは、コンピュータがデータを一時的に保存しておくためのスペースです。プログラムが動作するとき、メモリの中にデータや計算結果などを保存します。いわばメモリは勉強するときの「机」のようなもので、ここには鉛筆やノート、本棚からとってきた参考書などが置かれるようなイメージです。
プログラムが動作するときもこれと同じで、必要なデータを「机」にもってきたり、「ペン」を準備したりしますが、この「机=メモリ」のスペースは有限です。使い終わったペンや参考書をきちんと片付けておかないと、いずれ机の上のスペースがいっぱいになってしまい、新しいデータを保存できなくなるか、プログラムが正しく動かなくなってしまいます。
ここでガベージコレクションの出番です。
ガベージコレクションは、使われなくなったデータ(ガベージ)を自動的に見つけ出し、メモリ上から片付ける役割を持っています。これにより、プログラマーはメモリ管理の手間をかけずに、よりプログラムの開発に集中することができるようになります。
要は、ガベージコレクションはコンピュータのプログラムが効率良く動作し続けるために、メモリ内の不要なデータを自動的に管理・削除する仕組みのことを指します。プログラムの安定性や効率を高めるために非常に重要な機能であると言えるでしょう。
ガベージコレクションについて知っておくべきこと:注意点
ガベージコレクション(以下:GC)は非常に便利な機能ですが、GCが動作するタイミングにはプログラムの実行速度に影響を与える可能性があります。
実は、GCが行われるときにはプログラムの他の部分の実行が一時的に停止することがあります。この現象は「ストップ・ザ・ワールド」と呼ばれます。
ストップ・ザ・ワールド
「ストップ・ザ・ワールド」は、GCがメモリ内の不要なオブジェクトを探し出し、メモリを解放するためにプログラムの他のすべての動作を一時的に停止する現象。この現象が発生する理由は、ガベージコレクションがメモリを効率的に管理し、不要なオブジェクトを解放する際に、そのオブジェクトが現在使用中かどうかを正確に判断する必要があるためです。
プログラムが動作していると、さまざまな場所でメモリが割り当てられ解放されます。プログラムの実行中にはメモリの状態が常に変化しているため、GCは一時的にプログラムの実行を停止させることで、メモリのスナップショットを取り、どのメモリが安全に回収できるかを判断しています。
「ストップ・ザ・ワールド」の停止時間は、プログラムが使用しているメモリの量やGCのアルゴリズムによって異なり、一部のモダンなプログラミング言語やGCアルゴリズムではこの停止時間を最小限に抑える工夫がなされています。ですが、これを完全に避けることは難しいのが実情です。
GC自体もメモリを利用する
また、GC自体もメモリを利用するということを考慮する必要があります。つまり、作業している部屋を掃除してくれるGCも「その部屋に入って仕事をする必要がある」ので、作業者自体を邪魔する可能性があるということ。
GC自体も以下のような重めの作業をするので、ある程度のメモリが存在していないと、返って作業者に迷惑をかける可能性があるということを考慮しましょう。
- 到達可能性分析(Reachability Analysis): プログラムが今後も使用する可能性があるデータを識別。
- メモリ解放: いらないデータをメモリから解放する。
- メモリの整理: メモリの断片化を防ぐために、メモリ内のオブジェクトを再配置する。
GCはメモリ管理を自動化する強力なツールですが、その動作自体が無視できないリソースの使用を伴うことを理解しておくことが重要です。
エンジニアは、アプリケーションのパフォーマンスを最適化するために、この点を考慮に入れた設計を心掛ける必要があります。