Pythonとは、コードが読みやすく比較的短い行数で多くの処理を行うことができる高水準のプログラミング言語です。
参考 プログラミングとは?
Pythonは「コード全体が読みやすくわかりやすい」という特徴やAIとの親和性が高いなどといった点が評価され、世界中で人気急上昇中。多くのエンジニアから注目が集まっています。
このページでは、「Pythonって聞いたことあるけど一体どんなプログラミング言語なの?」「Javaとかのプログラミング言語とは何が違う?」という素朴な疑問をお持ちの方に、1からわかりやすく解説します。
このページで学べる内容
- Python(パイソン)とは?
- Pythonの特徴
- Pythonでできること・Pythonでは難しいこと
- Pythonを学習するメリット/Python学習の始め方
プログラマーやシステムエンジニアを目指す方であれば知らないと恥ずかしい超・基本知識の1つです。是非最後までご覧ください。
参考 プログラマー/システムエンジニアとは?
Pythonとは?
Pythonは初めて聞く人にとっては一見複雑に聞こえるかもしれません。が、実際には非常にシンプルで強力なプログラミング言語です。IT初心者がプログラミングに慣れ親しむための最初の一歩として最適な言語でもあり、また熟練のエンジニアやプログラマーにとっても非常に有用な言語となっています。
Pythonは、コードが読みやすく、比較的短い行数で多くのことを成し遂げることができる高水準のプログラミング言語です。
高水準プログラミング言語とは?
プログラミング言語は大きく分けて、高水準言語と低水準言語の2種類に分けられます。
高水準なプログラミング言語の特徴
- 人間に近い表現力
高水準プログラミング言語は、その名の通り、人間が理解しやすいレベルでコードを記述することを可能にします。英語や日本語のような自然言語に近い形式でプログラムを書くことができます。例えば、Pythonではprint("Hello, World!")
というコードで「Hello, World!」と表示させることができます。
- 抽象化の高度化
高水準言語はより複雑な処理を簡単なコードで表現することができます。具体的なコンピュータのハードウェアを直接操作する詳細なコードを書く必要がありません。例えば、Pythonでは、len("Hello, World!")
と書くだけで文字列の長さを計算できます。低水準言語ではそれができません。
- ポータビリティ
高水準プログラミング言語のコードは、さまざまなコンピュータのハードウェアやオペレーティングシステムで動作することができます。これは、高水準言語が抽象化を提供するため、特定のハードウェアやOSに依存しないコードを書くことができるためです。
- 効率的な開発
高水準言語は、開発者がより効率的にコードを書くことを可能にします。人間が理解しやすい表現を使うことで、コードのエラーを見つけやすく、デバッグも容易になります。
Pythonは1991年にオランダのプログラマー、グイド・ヴァンロッサムによって作られました。
彼の目的は、コードの可読性を重視し、短いコードで多くのことを達成できる言語を作ることでした。それが、Pythonの設計の中心的な哲学となり、その結果、Pythonは非常に直感的で初心者にも扱いやすい言語となりました。
Pythonの名前は、ヴァンロッサムが好きだったコメディ番組、「モンティ・パイソンの空飛ぶサーカス」から取られました。使いやすさ、アクセシビリティ、そして何よりも楽しさを重視する言語の特徴をよく表しているエピソードの1つです。
Pythonは、Web開発からデータサイエンス、人工知能(AI)まで、幅広い領域で使われています。多くの世界的な企業、特にテクノロジー企業(Google、Facebook、Netflixなど)はPythonを積極的に採用しており、それらの企業で働くソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストたちは日々Pythonを使っています。
Pythonで作られた有名なWebサービスの例
Pythonを用いて開発された有名なWebサービスをご紹介したいと思います。
きっと「それもPythonだったの?」と驚く人も多いと思います!
Pythonで作られているサービスの例
- Google: GoogleはPythonを広範囲に使用しており、一部のシステムや新しい機能開発にPythonが使われています。
- Instagram: Instagramも、Pythonを用いて開発されています。Instagramのエンジニアは、Pythonのシンプルさと実用性を高く評価。
- Spotify: 音楽ストリーミングサービスのSpotifyでは、Pythonがバックエンドサービスやデータ分析に使用されています。
- Netflix: 映画やドラマのストリーミングサービスNetflixでは、Pythonが主にサーバーサイドで使われ、データ分析やセキュリティ、機械学習のシステムにも活用されています。
- Dropbox: クラウドストレージサービスのDropboxは、Pythonで開発された大規模なWebアプリケーションの一つです。
これらのサービスは、Pythonの能力を最大限に引き出し、その柔軟性、スケーラビリティ、そしてコーディングの効率性を証明しています(主にAI関連の機械学習や、大量データの分析などが必須になっている現代におけるトップランナーの位置をPythonが占めています。)
Pythonの特徴
Pythonの特性を理解して、このプログラミング言語を使うことで何をすることができるかを把握しましょう。
今あなたが「やってみたいなあ」と思い描いていることは本当にPythonで実現できるのか?を頭に置きながら以下の内容を確認していきましょう!
Pythonの特徴1:可読性とシンプルさ
先ほども触れた通り、Pythonの最大の特徴はその可読性です。Pythonのコードは明確で、無駄がなく一貫性があります。これはPythonの設計哲学に由来します。
Pythonの設計哲学
- 美しいコードになること(Beauty is important)
- わかりやすいコードになること(Explicit is better than implicit)
Pythonではインデント(字下げ)を用いてコードブロックを区切り、その結果、コードは非常に整然として読みやすいものとなります。
可読性が高い言語・低い言語
可読性が高いプログラミング言語と低い言語の違いを、PythonとC言語のコードを用いて示します。まず、可読性が高いとされるPythonで"Hello, World!"を表示するプログラムを書いてみましょう。
print("Hello, World!")
一方、C言語で同じ"Hello, World!"を表示するプログラムを書くと以下のようになります。
#include <stdio.h>
int main() {
printf("Hello, World!");
return 0;
}
参考 print関数
Pythonのコードは非常にシンプルで、その内容が明確に表現されています。一方、C言語では、同じことを達成するためにはもっと多くのコードを書く必要が出てきます。
特に初心者にとっては、C言語のコードは理解するのが難しいかもしれません。例えば、#include <stdio.h>
やint main()
などの部分は初見では理解しづらいのではないでしょうか。
このように、Pythonのような可読性が高い言語は、コードがどのような動作をするのかを直感的に理解するのが容易です。
それに対して、C言語のような低レベルの言語は、コードの背後にある詳細な動作を理解するためにはより深い知識が必要となります。
Pythonの特徴2:多様性と柔軟性
Pythonは「汎用プログラミング言語」であるため、さまざまな用途に使うことができます。
Web開発、データ分析、人工知能、自動化、さらにはゲーム開発に至るまで、Pythonはその用途の幅広さから非常に人気があります。
汎用プログラミング言語「ではない」言語とは?
プログラミング言語はそれぞれ特定の目的や領域に特化して設計されていることが多く、そのために特定のタスクには非常に適しているものの、他の多様なタスクには向いていないものがあります。これらは一般的に「多様性や柔軟性がない」言語とも言えます。
例えば、汎用的とは呼べない言語には以下のようなものが挙げることができます。
- SQL(Structured Query Language)
SQLは、リレーショナルデータベースの管理と操作に特化したプログラミング言語です。SQLでデータの作成、読み取り、更新、削除などの操作が可能です。しかし、SQLはデータベースに関連した操作に特化しているため、一般的なプログラミングのタスク(例えば、データベースと無関係なアルゴリズムの実装やUIの開発など)には適していません。
- R言語
Rは主に統計計算やグラフ作成に特化したプログラミング言語で、データ分析や統計学の領域で広く利用されています。Rはその目的に特化して非常に強力ですが、例えばウェブアプリケーションの開発やシステムプログラミングなど、その他の一般的なプログラミングのタスクには向いていないと言えます。
- MATLAB
MATLABは数値計算を主目的としたプログラミング環境で、特に工学や科学計算の分野でよく使用されます。行列計算やシミュレーション、アルゴリズムのプロトタイピングなどには非常に便利ですが、ウェブ開発やモバイルアプリ開発など、一般的なソフトウェア開発の領域にはあまり適していません。
Pythonの特徴3:豊富なライブラリ
Pythonの大きな特徴の1つがライブラリが豊富に存在しているという点です。
ライブラリとは?
ライブラリとは再利用可能なコードの集まりを指します。特定の機能を実現するためのコードをまとめたもので、これを利用することで開発者は自分で1からコードを書く手間を省き、効率的に開発を進めることができます。
より詳しく説明すると、ライブラリとはすでに何らかの問題を解決するために作られたプログラムのパーツ・部品の集まりです。ファイル操作、ネットワーク通信、データ分析、画像処理といった多種多様なタスクを簡単に行うためのツールとして利用できるのがライブラリです。
例えば、Pythonには数値計算を助けるNumPy、データ分析を助けるPandas、機械学習を助けるscikit-learnといったライブラリがあります。これらのライブラリを利用することで、それぞれの領域に特化した複雑な処理を簡単に、そして効率的にコードで書くことができます。
これらはPythonのライブラリの一部に過ぎません。Pythonのエコシステムは非常に広大で、様々な目的に合わせて多くのライブラリが存在します。
すべての機能を1からコーディングするのではなく既に存在する機能はライブラリを利用することが可能。結果として高品質かつ効率的な開発が可能になります。
Pythonでできること
Pythonはその汎用性と強力なライブラリのエコシステムにより、Web開発からデータ分析、機械学習、科学計算、システム自動化に至るまで、さまざまなタスクを網羅することができます。
Pythonではどんなことができるのか、以下に整理してみました。
Pythonでできること
- Web開発:Pythonのフレームワーク(例えばDjangoやFlask)を利用することで、効率的にWebアプリケーションを開発することができます。これらのフレームワークは、データベースとのやり取り、ユーザ認証、テンプレートエンジンなど、Web開発に必要な基本的な機能を提供しています。
- データ分析:PandasやNumPyといったライブラリを用いて、大量のデータを扱い、それらを分析・整理することができます。これらのデータ分析系ライブラリが豊富に存在するので、Pythonはデータサイエンスの分野で多く用いられています。
- 機械学習:scikit-learnやTensorFlow、PyTorchなどのライブラリを使用すれば、Pythonで機械学習モデルを訓練し適用することが可能です。これらのライブラリは、様々な機械学習アルゴリズムを網羅しており、深層学習を含む最先端の技術もサポートしています。
- 科学計算:SciPyやNumPyといったライブラリは、数値解析や統計処理など、科学計算のための強力なツールを提供しています。
- システム自動化:Pythonはシステムやネットワークの自動化にも用いられます。スクリプトを書くことで、日常的なタスクを自動化したり、大規模なシステムを管理したりすることが可能です。
- 教育・プログラミング学習:Pythonはその読みやすさと簡潔さから初心者にも学びやすく、多くの教育機関やオンラインコースでプログラミングの入門言語として採用されています。
Pythonはその多様性と強力な機能により、さまざまな分野で活用されています。そのため、Pythonを学ぶことは、自身のスキルセットを大幅に広げることにつながります。
Pythonではできないこと・苦手分野
Pythonは非常に柔軟で強力な言語ですが、全ての状況に最適というわけではありません。いくつかPythonが苦手とする分野を挙げます。
Pythonの苦手分野
- モバイルアプリケーション開発:Pythonはモバイルアプリケーションの開発にはあまり適していません。iOSやAndroid用のアプリを作る場合、それぞれのプラットフォームに最適化された言語(Objective-C、Swift、Java、Kotlinなど)を使うことが一般的です。
- パフォーマンスが重要な場面:Pythonは動的な言語で、他の静的な言語(例えばCやJava)に比べて実行速度が遅い場合があります。したがって、パフォーマンスが極めて重要な場面(例えば、高頻度取引など)ではPythonは最適な選択ではないかもしれません。
- システムレベルのプログラミング:オペレーティングシステムやデバイスドライバのようなシステムレベルのプログラミングには、PythonよりもCやC++などの低レベル言語がより適しています。
それぞれのプログラミング言語は独自の強みと弱みを持っています。適切な言語を選択するためには、その言語が解決しようとする問題や目的を理解することが重要です。
Pythonを学習するメリット
Pythonを学ぶメリットはその簡易性、多様性、そして広範な適用性にあります。
これらは、初心者がプログラミングの基礎を学ぶのに最適な環境を提供し、経験豊富な開発者が幅広い問題を解決するための強力なツールとなります。
Pythonを学習するメリット
- 初心者に優しい:Pythonは構文・文法が英語に近いため、初心者にとって学びやすい言語とされています。また、Pythonのコードは他の多くのプログラミング言語に比べて可読性が高く、理解しやすいです。
- 広範な用途:Pythonはウェブ開発、データ分析、AI・機械学習、自動化スクリプト作成など、多様な分野に利用可能な言語です。このような多様性は、Pythonスキルが市場で高い需要を保つ一因となっています。
- 強力なライブラリのエコシステム:Pythonのライブラリは非常に多岐にわたります。データ分析にはpandas、視覚化にはmatplotlib、機械学習にはscikit-learnやtensorflowなど、必要な機能をすぐに利用することができます。
- コミュニティの支援:Pythonは全世界的に広く利用されている言語であり、その結果、インターネット上には大量の学習リソースとコミュニティが存在します。これは学ぶ者が問題に直面したときに解決策を見つけやすい環境を作り出しています。
- キャリアに有利:Pythonのスキルは多くの業界で求められており、プログラミング言語としてのPythonの知識は就職市場で非常に価値があります。
Pythonを学ぶことは、初めてのプログラミング学習に取り組む初心者から、スキルを拡張しようとする経験豊富な開発者まで、幅広い人々にとって有益です。
Pythonとは・・・
- 高水準なプログラミング言語:Pythonは、人間が理解しやすい形式でプログラムを書くことができる言語です。詳細なコンピュータの動作を管理する必要が少ないため、初学者にも扱いやすいです。
- インタープリタ型言語:Pythonはインタープリタ型の言語であり、プログラムを行ごとに実行します。これにより、プログラムを即時にテストし、フィードバックを得ることが可能です。
- オブジェクト指向:Pythonはオブジェクト指向言語であり、データと機能を一つのオブジェクトにまとめることができます。これは大規模なプログラムの設計と管理を容易にします。
- 多目的:Pythonはウェブ開発からデータ分析、AIと機械学習まで、多岐にわたるタスクに対応できます。
- 強力なライブラリとフレームワーク:Pythonのライブラリとフレームワークは広範で、特定のタスクを効率的に処理するためのツールが提供されています。