BASE特性は「最終的な一貫性を持つ分散システムの設計原則」を表現する用語です。
分散システムにおいて一貫性を担保するアプローチの1つで、主にデータベース設計に関する文脈の中で用いられます。
BASEは「Basically Available, Soft state, Eventually consistent」の頭文字を取っています。
- Basically Available(基本的に可用): システムは常に応答が返ってくる状態であり、高可用性が確保されていること。
- Soft State(ソフトな状態): システムの状態は時間と共に変わる可能性があること。
- Eventually Consistent(最終的に一貫性がある): システムは時間が経過すると一貫性が達成されること。
超ザックリ説明すると、システム(特にデータベース)が複数台に分散しているときには、「様々な制約があるので」システムをざっくりと捉えるよ!というのがBASE特性の説明。
このページではBASE特性とは何か?を初心者向けにわかりやすく解説します。
システムエンジニアやプログラマーを目指す方であれば頭に入れておきたいIT基本知識の1つです。是非最後までご覧ください。
BASE特性とは?
BASE特性は、分散システムにおける一貫性と可用性のトレードオフを理解するためのフレームワークです。特に大規模な分散システムでよく言及される特性の1つ。
Amazon Dynamo, Cassandra, CouchbaseなどのNoSQLデータベースがこの特性を持っています。
- Basically Available(基本的に可用)
- Soft State(ソフトな状態)
- Eventually Consistent(最終的に一貫性がある)
Basically Available
"Basically Available(基本的に可用)"とは、分散システムにおいて各ノードが常に動作状態にあるとは限らないものの、システム全体としてはユーザーに対してサービスを提供し続けられる状態を指します。
つまり、一部のノードやコンポーネントに障害が発生しても、その影響を最小限に抑え、システム全体が機能し続けるように設計しますよ!ということ。
この考え方は、一貫性よりも可用性を優先するシステム設計、特に大規模な分散システムにおいて重要です。このようにして、"Basically Available"はシステムが常に応答可能であることを確保し、高い可用性を実現します。
Basically Available(基本的に可用)
- システムの可用性を強調する用語。
- 一部のコンポーネントが故障していても、システムは基本的には機能する。
- 可用性が高いため、一時的な非一貫性や遅延が許容される。
Soft State
"Soft State(ソフトな状態)"は、分散システムの状態が一定でなく、時間や外部のイベントによって変化する可能性があることを意味します。
分かりやすく言い換えると「多少のシステム異常は許してね」ということ。システムが多少の異常や変化を許容しながらも適応し、機能し続ける能力があることを表すのがこの単語の意味するところです。
この特性により、システムはより柔軟な対応が可能となり、環境のダイナミックな変化に適応できます。たとえば、負荷の変化やネットワークの遅延、ノードの故障といった状況が発生した場合でも、システムはそれに対応して状態を調整する能力を持っています。
Eventually Consistent
"Eventually Consistent(最終的に一貫性がある)"は、システム内の全てのノードやデータが短期間の非一貫性を許容した後、最終的には一貫した状態に達することを指します。
すなわち、一時的に一貫性が担保されないことはある(←これが"Soft State")けど、最終的にはちゃんと担保するよ!ということを意味します。
この特性は、大規模な分散システムで特に重要であり、一貫性を瞬時に確保するよりも、可用性や耐障害性を高めることが優先されるということです。
"Soft State"と"Eventually Consistent"の特性は基本的にはセットで言及され、これによって高度に分散されたシステムでも可用性と一貫性をバランスよく確保することが可能になります。
BASE特性の例/考えられるシナリオ
BASE特性を備えた分散システムでのデータの書き込みと読み出しの簡単な事例を、時系列順にご説明します。
シナリオ
- 分散データベースに3つのノード(Node A, Node B, Node C)が存在。
- ユーザーがデータ(Key: "UserID", Value: "User Data")を書き込み、その後で同じデータを読み出す操作を行う。
処理の例(時系列)
- 1書き込み処理開始(Basically Available)
- ユーザーがデータ(Key: "UserID", Value: "User Data")を書き込む。
- Node Aは応答可能だが、Node Bは一時的にダウン。
- 2データ書き込み(Soft State)
- Node AとNode Cにデータが書き込まれる。
- Node Bはダウンしているため、データは書き込まれない。
- この時点でのシステムは一貫性がない。
- 3Node B復旧とデータ同期(Eventually Consistent)
- Node Bが復旧し、Node AとNode Cからデータを同期。
- システムが最終的に一貫した状態になる。
- 4データ読み出し(Basically Available)
- ユーザーがKey: "UserID"でデータを読み出す。
- Node A, Node B, Node Cから一貫したデータ(Value: "User Data")が返る。
この例では、最初はシステムが一貫性を欠いていましたが、最終的に一貫性が確保されることを示しています。Node Bが一時的にダウンしても、システム全体としては書き込みと読み出しが可能であり、高い可用性が確保されています。
このようにBASE特性は、分散システムにおいて一貫性、可用性、そして耐障害性をバランスよく提供します。
まとめ:BASE特性とは?
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