IPアドレスは大きく2つに分類することができます。1つがグローバルIPアドレス、もう1つがプライベートIPアドレスです。
このページではグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの違いをIT初心者向けにわかりやすく図解付きで解説します。
なんでグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスという区分けが必要になるのか?実際にはどのように使い分けがされているのか?まで1から丁寧に解説します。
ネットワークエンジニアを目指す方であれば知らないと恥ずかしい超・基本知識です。是非最後までご覧ください。
【前提】IPアドレスとは?
まずは前提としてIPアドレスとは何か?を復習しておきましょう!
IPアドレス(Internet Protocol Address)とは、インターネットの世界における住所のことです。
現実世界では、今住んでいる場所に応じて全員がそれぞれの「住所」を持っています。これと同じように、インターネットに接続する全てのコンピュータにはIPアドレスが割り当てられています。
例えば誰かに手紙を送りたいとき―。その人の住んでいる「住所」を調べて手紙を郵便局に配達しますよね。
これと同じようにインターネットの世界でも「IPアドレス」を基に、メールをどこに送れば良いか?動画データを誰のスマートフォンに送れば良いか?などを判断します。
関連記事>IPアドレスとは何か?ネットワーク初心者向けに分かりやすく3分で解説
IPアドレス(IPv4)の枯渇問題
IPアドレスは、以下のように32bitの二進数で保持され、それを8桁区切りで十進数に変換したもので表記されます。
IPアドレスが32bitの二進数で表されると言うことは、世界中に存在するIPアドレスの数は次のように計算して求めることができます。
2の32乗=4,294,967,296個(約43億個)
先ほど、インターネットに接続している世界中のコンピュータ(スマートフォン)には必ずIPアドレスが割り当てられていると説明しました。ここで、1つの疑問が生じるのではないでしょうか?
43億台目のコンピュータはインターネットに接続することができないのではないか?
実際、個人で有しているコンピュータ(スマートフォンも含まれます)、その他会社で保有しているコンピュータなども含めると、世界中のコンピュータの数は43億台を遥かに超えています。
どのようにして、実際に43億台以上のコンピュータはインターネット上でデータの送受信をすることができているのでしょうか?
実は、それを実現するために考えられたのがグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの区別です。
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス
IPアドレスは大きく2つに分類することができます。
1つが、グローバルIPアドレス。もう1つが、プライベートIPアドレスです。グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの違いは以下の通り。
グローバルIPアドレス(パブリックIPアドレス)
インターネットに接続する全てのコンピュータに重複せずに割り当てられているIPアドレス。これがグローバルIPアドレスの概略です。
グローバルIPアドレスは、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)という団体によって一元管理されており、その下部組織にAPNIC(アジアのIPアドレスを管理)、さらにその下にJPNIC(日本のIPアドレスを管理)が存在します。
ICANNが「ここからこの範囲はアジアで使ってOK!」と決め、APNICが「ここからこの範囲は日本が使ってOK!」と決めるような流れで割り当てされます。
最終的には、BIGLOBEやOCNといったプロバイダが一定範囲のIPアドレスを管理する形となっており、私たちは自宅にインターネット回線を引く際はこのプロバイダからグローバルIPアドレスを付与してもらいます。
基本的には1契約1IPアドレスが払い出されます。
自分のIPアドレスを調べる方法(グローバルIPアドレス)
今ご利用中のパソコン(スマートフォン)のIPアドレスは、以下のWebサイト「CWAN」にアクセスするだけで確認可能です。
ここで確認できるIPアドレスは、パブリックIPアドレス(グローバルIPアドレス)です。つまり、インターネットに接続するために利用しているIPアドレスです。
もし、あなたがルーター経由でインターネットを閲覧している場合、確認できるのはそのルーターに割り当てられているパブリックIPアドレスです。(試しに、同じルーターに接続している他の機器からも確認してみてください。同じIPアドレスが表示されるはずです。)
プライベートIPアドレス
対して、プライベートIPアドレスとはインターネットに直接接続するわけではないコンピュータに割り当てるIPアドレスのことです。
別の説明をすれば「ローカルネットワーク」に接続されているコンピュータに割り当てるIPアドレスのこととなります。
家にインターネット環境を構築する場合を例にとって説明しますが、プロバイダは1契約につき1つのパブリックIPアドレスしか割り当てません。
ここまでの説明だけで考えると、家の中でインターネットに接続できるのはコンピュータ1台のみということになってしまいます。実際は、コンピュータは複数台存在するでしょうし、スマートフォンやタブレット、その他プリンターやスマート家電等インターネットに接続したい機器はたくさんあるはずです。
それを解決するのがルーターです。
ルーター1台にグローバルIPアドレスを割り当てておき、家にあるパソコンやスマートフォンはルーターを経由して(つまりルーターのパブリックIPアドレスを利用して)インターネットに接続させるという手法をとります。このようにすることで、複数台のコンピュータをインターネットに接続できるようにします。
ルーターを中心に家庭内でローカルネットワークを構築するようなイメージです。
このときローカルネットワーク内のコンピュータに割り当てられるのがプライベートIPアドレス。
プライベートIPアドレスは、ICANNのような管理団体は存在しませんので、自分で自由に設定することが可能です。
プライベートIPアドレスは、そのローカルネットワーク内でのみ利用されるIPアドレスなので、他のネットワーク内に存在するコンピュータと重複してもOK。
プライベートIPアドレスは、ルーター内に付属しているNAT(Network Address Translation)という機能によってパブリックIPアドレスに変換されるようになっており、実際にローカルネットワーク内のコンピュータがインターネットに接続する際にはパブリックIPアドレスが利用される仕組みです。
このようにして、ローカルネットワークとグローバルネットワーク(インターネット)という概念で分類し、約43億個しかないIPアドレスを効率よく運用しているのが現代のインターネットの基本的な仕組みです。
プライベートIPアドレスはRFC 1918で「どこからどこまでは利用してOK」というのが規定されており、その範囲内で設定を行う必要があります。
言い換えれば、以下の範囲のIPアドレスはインターネットで利用されておらず、社内LANを構築するときなどに、誰にも申請することなく自由に利用することが可能であるということです。
クラス | アドレス範囲 |
---|---|
クラスA | 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255 |
クラスB | 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255 |
クラスC | 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 |
自分のIPアドレスを調べる方法(プライベートIPアドレス)
プライベートIPアドレスを調べるには、コマンドプロンプトで「ipconfig」コマンドを実行するだけ。
このコマンドで自分のPCに割り当てられているプライベートIPアドレスを確認することが可能です。
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