PPP (Point-to-Point Protocol) とは、二点間の直接的な通信を可能にするデータリンク層(OSI参照モデルの第2層)のプロトコルです。主にインターネット接続に使用され、特にダイヤルアップ接続やDSLなどのシリアル通信で広く採用されています。
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読み方はそのまま「ぴーぴーぴー」です。
このページではPPP (Point-to-Point Protocol) って何?PPPはいつ利用されるの?どのような仕組みでデータ通信を実現させているの?という疑問にお答えします。
- PPP (Point-to-Point Protocol) とは?
- LCP (Link Control Protocol) とNCP (Network Control Protocol)
PPP (Point-to-Point Protocol) はネットワークスペシャリスト試験などの各種試験でも出題される基本知識の1つです。是非最後までご覧ください。
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PPP (Point-to-Point Protocol) とは?
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PPP (Point-to-Point Protocol) とは、OSI参照モデルの第2層:データリンク層で動作するプロトコルで、コンピュータ同士が1対1の通信を行うための諸々の規定を定めています。
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簡単に言えば、1対1で接続されたコンピュータ同士が「どのような手順で」「どのようなデータ形式で」通信を行うか?を定めたプロトコルがPPPです。
PPPの主な特徴
- 多様なネットワーク層プロトコルのサポート:
- PPPは、IP(インターネットプロトコル)、IPX(Internetwork Packet Exchange)、AppleTalkなど、多様なネットワーク層プロトコルをサポート。
- エラーチェック機能:
- データ伝送中のエラーを検出し、必要に応じて修正する機能を持つ。
- 認証機能:
- PAP(Password Authentication Protocol)やCHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol)などの認証メカニズムを用いて、セキュアな接続を実現。
- 圧縮機能:
- データの圧縮を行い、伝送効率を向上させることが可能。
- マルチリンク機能:
- 複数の物理リンクを1つの論理的なリンクとして扱い、帯域幅を増加させることができます。
PPPは様々なタイプのネットワークで安定した二点間通信を提供するために重要なプロトコル。認証、エラーチェック、圧縮などの機能を備えており、特に遠隔地への接続やセキュアな通信が必要な場面で役立ちます。
OSI参照モデル(OSI基本参照モデル)とは、複雑なネットワークの仕組み(通信をするのに必要な機能)を7つの階層に分け、各階層の機能・役割を単純化し理解しやすいようにしたモデル。
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OSI参照モデルの第2層:データリンク層は、LANケーブルなどで直接接続されたコンピュータ同士でデータをやり取りできるようにするためのもろもろの機能を提供します。
第1層:物理層では、二進数のビット列から電気信号・光信号・電波への変換方法や電気信号の電圧レベル、LANなどの伝送媒体など電気信号に関するもろもろの仕組みを規定します。
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ただし、第1層:物理層の規定を守って適切な電気信号を送付しただけでは、コンピュータ同士は適切に通信を行うことができません。
例えば、LANケーブルで4台のコンピュータがつながっている場合。接続先のコンピュータに電気信号が届いても、果たしてどのコンピュータに対して送信したデータであるかは判別できません。
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OSI参照モデルの第2層:データリンク層では、データ転送対象の機器の判別する役割やLANケーブルなどで接続された機器同士でのデータ通信方法などを規定し、お互いに正しく通信ができるようにルールを定めています。
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PPP (Point-to-Point Protocol) をきちんと理解するためには、OSI参照モデルに関する知識は確実に押さえておく必要があります。
以下の記事でOSI参照モデルに関する解説を行っておりますので、自信のない方はまずは以下の記事をご覧ください。
イーサネットを利用する場合には、OSI参照モデルにおける第1層(物理層)と第2層(データリンク層)の両方に関する規定を定められており、「どのようなケーブルを利用するか?」「どのようにLANに接続されたネットワーク機器を識別するか?」などが決まっています。
一方で、PPP (Point-to-Point Protocol) の場合は利用するケーブル(=物理層)に関する規定は設けておらず、純粋に「どのように2点間の通信を制御するか?」を規定したプロトコルであるという点が相違点です。
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つまり、PPP (Point-to-Point Protocol) の仕組みだけでは実際に通信を行うことができません。電話回線やATM回線などを利用する通信回線の上で、PPPが実際に動作する仕組みです。
PPPの仕組み
ここからはPPP(Point-to-Point Protocol)の具体的な仕組みについて、システム的な側面から解説します。PPPのプロトコルは、以下の主要なコンポーネントと機能で構成されています。
1. フレーミング
PPPは、データをフレームにカプセル化して伝送します。こうすることで、異なるネットワーク層プロトコルのデータが同じ物理リンク上で転送できるようになります。
ポイント フレーム構造
- フラグフィールド
- フレームの開始と終了を示す。一般的には
0x7E
で表される。
- フレームの開始と終了を示す。一般的には
- アドレスフィールド
- 通常は
0xFF
としてブロードキャストアドレスを示す。
- 通常は
- コントロールフィールド
- デフォルトでは
0x03
と設定され、非圧縮データを示す。
- デフォルトでは
- プロトコルフィールド
- 使用するプロトコルを識別します。たとえば、IPデータは
0x0021
、IPXデータは0x002B
。
- 使用するプロトコルを識別します。たとえば、IPデータは
- データフィールド
- 実際のペイロード(送信する情報)を含みます。この部分の長さは可変。
- FCSフィールド(Frame Check Sequence)
- エラーチェック用のシーケンス。一般にCRC(Cyclic Redundancy Check)を使用し、16ビットまたは32ビットの値が入る。
7E FF 03 00 21 45 00 00 54 ... 7D 5E 7E フラグフィールド: 7E (フレームの開始と終了を示す) アドレスフィールド: FF (デフォルトのブロードキャストアドレス) コントロールフィールド: 03 (非圧縮データを示す) プロトコルフィールド: 0021 (IPパケットを示す) データフィールド: 実際のIPパケットのデータ。例えば、45 00 00 54 ... のようなIPヘッダとペイロード。 FCSフィールド: エラーチェックのためのCRC。例えば、7D 5E のような値。
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PPPフレームは、これらの要素を組み合わせて物理的なリンク上でのデータ転送を可能にします。フレームの各部分は、データが正確かつ効率的に転送されることを保証するための重要な役割を果たします。
LCPとNCP
PPP (Point-to-Point Protocol) は、大きく2つのプロトコルから構成されます。
1つが「どのようにコネクションを確立するか?」を定めるLCP。もう1つが、確立されたコネクション上で「どのようにデータを運ぶか?」を定めるNCPです。
PPP:LCP (Link Control Protocol)
LCP (Link Control Protocol) はコネクションを確立したり切断したり、認証プロトコル(PAP or CHAP)の設定、パケット長の設定などを制御するプロトコルです。
参考 認証プロトコル
- PAP(Password Authentication Protocol):単純な2ウェイハンドシェイク。
- CHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol):より安全な3ウェイハンドシェイク。
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LCP (Link Control Protocol) が動作することによって、1対1の通信回路(=道)が出来上がるようなイメージができればOKです。
ポイント LCPの機能
- リンクの設定とテスト
- オプションのネゴシエーション:認証方法、圧縮、マルチリンクなど
- リンクの品質監視とエラー検出
- リンクの終了処理
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PPP接続の設定、管理、および接続の終了を行う場合にLCPが利用されます。
PPP:NCP (Network Control Protocol)
NCP (Network Control Protocol) は、確立したコネクション上で「どのような通信を行うのか?」を制御します。
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LCPは「道」の確立。NCPはその「道(=通信回路)」の上で使用するプロトコルを決めるイメージです。
例えば、IP通信であれば「IPCP」としてIPアドレスの設定などを行ったりします。
ポイント NCPの機能
- 使用するネットワーク層プロトコルの選択と設定
- ネットワーク層プロトコル固有のオプションのネゴシエーション
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ざっくりと、PPPは2つのプロトコルがうまく連動して、二点間の通信を実現している!とおさえておけばとりあえずOKです。
PPPの利用シーン
PPP(Point-to-Point Protocol)の利用シーンについて。
実は、PPPを実際に利用しているという方は今ではあまり多くはないかもしれません。実際現代のネットワーク技術の進歩に伴い、PPPの利用はかつてほど一般的ではなくなっています。しかし、特定のシナリオでは依然としてPPPが重要な役割を果たしており、その代表的な利用シーンについて以下ご説明します。
1. ダイヤルアップインターネット接続
PPPは、電話線を介したインターネット接続(ダイヤルアップ接続)で広く使用されていました。コンピュータはモデムを通じてISP(インターネットサービスプロバイダ)に接続し、PPPを利用してデータを転送します。
高速ブロードバンド接続の普及により、ダイヤルアップ接続の利用は大幅に減少しました。
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特に日本ではインターネット普及前に電話線が全国に敷かれていた関係で、このダイヤルアップ接続は一般的な接続方法でした。今では、光回線などが敷かれている関係で一般的にはほとんど利用されておりません。
2. VPN(仮想プライベートネットワーク)
PPPは、VPN接続の構築にも使用されることがあります。
特に、PPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol)というVPNプロトコルは、PPPをベースにしており、リモートユーザーがプライベートネットワークに安全にアクセスするために使われていました。
3. シリアル接続
PPPは、物理的なシリアルリンク(たとえば、ルータ間の直接接続)においても利用されることがあります。この場合、PPPは信頼性の高いポイントツーポイント通信を提供します。
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高速かつ効率的なネットワークプロトコルの開発に伴い、PPPの利用は徐々に減少しています。
特に、高速なファイバーやワイヤレス接続技術の普及により、PPPの利用は限られたシナリオに留まっています。
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ネットワーク学習の決定版(ネットワークエンジニアを目指すなら必見!)
↑ページ数が多く誰でも手軽に読める内容ではありませんが、ネットワークエンジニアであれば、ほぼ全員が一度は読んだことがある超・有料書籍。是非一度読破しておきたい1冊のご紹介です。
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