LANケーブルはコンピューターやネットワークデバイス間のデータ通信を可能にする基本的な要素。このLANケーブルを大きく2つに分類するとUTP(非シールドねじれ対)ケーブルとSTP(シールドねじれ対)ケーブルの2つのタイプに分けることができます。
参考 イーサネットとは?
このページではUTPケーブルとは何か?STPケーブルとは何か?をご説明します。
UTPケーブルは最も一般的なLANケーブルの1つで、線が金属製のシールドで保護されていないケーブルのこと。(=我々が一般的に思い浮かべる)これにより、柔軟性が高く、取り扱いやすさとコスト効率の良さを兼ね備えています。
一方、STPケーブルは、金属製のシールドでねじれ対線を保護しており、電磁干渉に強く、より安定したデータ伝送が可能ですが、一般に重く、コストも高いといった特徴があります。
この記事では知っているようで知らないLANケーブルの種類(UTPケーブル・STPケーブル・クロスケーブル・ストレートケーブル)の違いをわかりやすく整理して復習します。
分類レベル | ケーブルのタイプ | 説明 |
---|---|---|
LANケーブル | ローカルエリアネットワーク内のデバイスを接続するためのケーブル | |
シールドタイプ | UTPケーブル | 非シールドねじれ対線を使用したケーブル |
STPケーブル | ねじれ対線を金属製のシールドで保護したケーブル | |
配線タイプ | ストレートケーブル | 両端の配線が同じ順序で配置されているケーブル |
クロスケーブル | 一方の端の配線が交差しているケーブル |
早速、UTPケーブルとは何か?から解説を始めます。
UTPケーブルとは?
結論 UTP(Unshielded Twisted Pair)ケーブルは、その柔軟性、取り扱いやすさ、コスト効率の良さから、最も一般的に使用されるLANケーブルの1つです。これには、UTPストレートケーブルとUTPクロスケーブルの2つの主要なタイプがあります。
UTPケーブルは、シールド(金属製の保護被膜)を持たない複数のねじれ対線(ペア)を使用します。ケーブルが柔軟で取り回しやすいため、オフィスや家庭などさまざまな環境に適しています。
UTPストレートケーブルは、両端のコネクタのピン配置が同じ順序であるケーブルです。これは、通常、スイッチ、ルーター、ハブなどのネットワーク機器とコンピューターや他のエンドポイントデバイスを接続するために使用されます。
一方、UTPクロスケーブルは、一方の端のコネクタのピン配置が交差しているケーブルです。これは、同種のデバイス(例えばコンピューター同士、スイッチ同士)を直接接続する場合に使用されます。ただし、現代の多くのネットワーク機器は自動で信号を調整できるため、クロスケーブルの必要性は減少しています。
STPケーブルとは?
結論 STP(Shielded Twisted Pair)ケーブルは、金属製のシールドによる保護を備えており、電磁干渉からの影響を受けにくいため、特にセキュリティや信号品質が重視される環境に適しています。STPケーブルもUTPケーブル同様、STPストレートケーブルとSTPクロスケーブルの2つのタイプがあります。
STPケーブルは、その名の通り、各ねじれ対線が金属製のシールドで包まれています。このシールドは、外部からの電磁干渉を防ぐことで、データ通信の品質と安定性を向上させます。これは、工場や医療施設など、電磁干渉が多い環境で特に重要です。
STPストレートケーブルは、UTPストレートケーブルと同様、両端のコネクタのピン配置が同じ順序であるケーブルです。このタイプのケーブルは、通常、ネットワーク機器とコンピューターや他のエンドポイントデバイスを接続するために使用されます。
STPクロスケーブルは、UTPクロスケーブルと同様に、一方の端のコネクタのピン配置が交差しています。これは、同種のデバイスを直接接続する場合に利用されますが、現代のネットワーク機器には自動で信号を調整する機能があるため、使用頻度は減少しています。
STPケーブルは、その優れた保護機能により、特定の産業や環境での利用に適していますが、UTPケーブルに比べて重く、柔軟性に欠けるため、設置環境や用途を慎重に検討する必要があります。
ケーブルの選択と使い分け
UTPケーブルとSTPケーブルは、それぞれ独自の利点と用途があり、ネットワークのニーズに応じて適切に選択することが重要です。UTPは柔軟性とコスト効率が高く、一般的なオフィスや家庭向けです。STPは電磁干渉に強く、特定の産業や環境に最適です。
UTPケーブルの最大の利点はその柔軟性とコスト効率です。軽量で取り回しが容易なため、一般的なオフィス環境や家庭での使用に最適です。電磁干渉がそれほど強くない環境であれば、UTPケーブルは信頼性の高い通信を提供します。
一方、STPケーブルは、その追加のシールドにより、電磁干渉からの保護が強化されています。工業施設や医療施設など、電磁干渉が頻繁に発生する環境や、データのセキュリティが重要な場所での使用が推奨されます。しかし、このタイプのケーブルは重く、柔軟性が低いため、設置が難しいことがあります。
また、ストレートケーブルとクロスケーブルの選択についても理解することが重要です。ストレートケーブルは、異なるタイプのデバイス(例えばコンピューターとスイッチ)間の接続に使用されます。一方、クロスケーブルは、同種のデバイスを直接接続する際に利用されますが、多くの現代のネットワーク機器は自動で接続タイプを識別し、調整する能力を持っているため、このタイプのケーブルの必要性は減少しています。
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