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L3スイッチ(レイヤ3スイッチ)とは?初心者向けにわかりやすく解説

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このページでは基本情報技術者やネットワークスペシャリスト試験等で頻繁に出題されるL3スイッチについて初心者向けに分かりやすく解説します。

L3スイッチとは、Layer 3(レイヤ3)スイッチの略で、ネットワークの第3層、すなわちネットワーク層の機能を持ったスイッチングデバイスを指します。

参考 ネットワーク層とは?(OSI参照モデル)

と説明されても、いまいち理解できない方も多いかと思います。このページでは前提となる基本的な内容も踏まえつつ、L3スイッチの意味や仕組みについてご説明します。

このページで学べる内容
  • レイヤ3スイッチとは?
    • リピータ/レイヤ2スイッチ(ブリッジ)との違い
  • ルータとの違い

ネットワークエンジニアを目指す方であれば知らないと恥ずかしい基本知識の1つです。是非最後までご覧ください。

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前提:OSI参照モデルについて

レイヤ3スイッチ(ルータ)の役割・仕組みをきちんと理解するためには、OSI参照モデルの理解が必須です。

OSI参照モデルを知らなくてもある程度の理解をすることはできるかもしれませんが、本質的な理解にはつながりません。この機会に簡単に合わせて学習しておきましょう。

OSI参照モデル(OSI基本参照モデル)とは、複雑なネットワークの仕組み(通信をするのに必要な機能)を7つの階層に分け、各階層の機能・役割を単純化し理解しやすいようにしたモデルです。

OSI参照モデル
図1:OSI参照モデル

世界中に張り巡らされたネットワーク(インターネット)を通して、1つのコンピュータと1つのコンピュータが適切な通信を実現するためには、想像以上に複雑な仕組み・ルールが必要になります。アプリケーション間でのデータ転送方法、宛先コンピュータの特定方法、画像や動画ファイルのデータ形式の変換方法など例に挙げるときりがありません。

この複雑なネットワークの仕組みを7階層に分解し、各階層の機能・役割を分かりやすくモデル化したものがOSI参照モデルです。

レイヤ3スイッチ(L3スイッチ)とは?

レイヤ3スイッチとは、OSI参照モデルの第3層:ネットワーク層のプロトコルを解釈して通信制御を行う装置です。

言い換えると、ネットワークとネットワークを接続するための通信機器がレイヤ3スイッチです。

レイヤ3スイッチとは
図2:LSスイッチとは

これだけではピンとこない方のためにリピータやブリッジとの違いを比較しながら深堀して解説します。

リピータとは?

リピータはOSI参照モデルの第1層:物理層で動作するネットワーク機器です。シンプルに物理層の機器なので、その役割は単に電気信号を中継するだけです。

リピータとは
図2:リピータとは

電気信号はどうしても周辺のノイズなどの外部要因によって電気の流れが弱まってしまいます。

リピータとは
図3:リピータの働き(1)

弱まった電気をもとに戻すのがリピータです。

リピータとは
図4:リピータの働き(2)

ブリッジ/スイッチ

ブリッジ/スイッチはOSI参照モデルの第2層:データリンク層で動作するネットワーク機器です。

流れてきたデータの宛先MACアドレスを参照し、適切な機器へデータを転送する役割を担います。

スイッチがあるおかげでデータ(=フレーム)を流す範囲を指定することができるため、1つのネットワークを仮想的に分割することが可能になります。

リピータは単に電気信号を増幅する役割だけだったので、宛先MACアドレスを見てフレームを流す方向を決めたりすることはできません。これがブリッジ/スイッチとの大きな相違点です。

ブリッジとスイッチについて更に詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

スイッチは、OSI参照モデルの第2層で動作することから、L2スイッチ / レイヤ2スイッチ とも呼ばれます。また、スイッチがハブの機能も兼ね備えていることが多いので、その意味でスイッチングハブとも呼ばれます。

L3スイッチ(レイヤ3スイッチ)とは?

ここからが本題です。

LSスイッチ(レイヤ3スイッチ)とは、OSI参照モデル第3層:ネットワーク層のプロトコルを解釈して通信制御を行う装置のことです。

  • L3スイッチとは: 「L3」は「Layer 3」の略で、ネットワークの第3層を指す。
  • 第3層: ネットワークの「ネットワーク層」と呼ばれ、IPアドレスを使って通信を行う層のこと >詳細はOSI参照モデル
レイヤ3スイッチとは
再掲:L3スイッチとは

ブリッジ・スイッチの場合は、流れてくる宛先MACアドレスを解釈しデータを流す先を制御することができましたが、OSI参照モデルの第3層に位置するIPアドレスを解釈することはできません。

したがって、異なるネットワークにデータ(=パケット)を流すことができません。IPアドレスを解釈できないと、どのネットワークにデータを転送すれば良いかが決定できないためです。

そこでIPアドレスを解釈し適切な宛先にデータを振り分ける機能が必要です。それが、レイヤ3スイッチです。

  • L3スイッチは、基本的にはスイッチとしての役割を果たす。
    接続されているデバイス間でデータを転送する役割を担う。
  • しかし、普通のスイッチ(L2スイッチ/リピータハブ)とは異なり、L3スイッチはIPアドレスを見て、データをどこへ送るかを判断する能力があります。

リピータ/スイッチ/レイヤ3スイッチを分かりやすくまとめると以下のようになります。

機器役割OSI参照モデル
レイヤ3スイッチIPアドレスを解釈しデータ転送第3層
レイヤ2スイッチ(スイッチ)MACアドレスを解釈しデータ転送第2層
リピータ電気信号の増幅
(データの中身は見ない)
第1層

このようにしてみると、OSI参照モデルのどの層に位置するかを理解できればリピータ/スイッチ/レイヤ3スイッチの相違点は明らかになります。

レイヤ3スイッチとルータの違い

レイヤ3スイッチとは何か?を知ろうとすると、ルータと何が違うの?と疑問がわく方も多いはずです。

結論から言うと、レイヤ3スイッチとルータは目的とする役割において同一の機器として考えてOKです。

つまり、ルータもOSI参照モデル第3層:ネットワーク層のプロトコルを解釈して通信制御を行う装置ということ。

実際には以下の点で多少の差異があります。が、現在では両者の技術革新が進み明示的な差異はそれほどなくなってきています。

レイヤ3スイッチ vs ルータ

特徴ルータレイヤ3スイッチ
対応するメディア イーサネット(有線LAN)以外も対応イーサネット(有線LAN)のみ
ポート数少ない多い
処理方式ソフトウェア処理ハードウェア処理(データ転送処理が高速

レイヤ3スイッチとルータの用途の違い

実際には上記の違いを踏まえつつ、レイヤ3スイッチは社内のLAN同士を接続する機器として、ルータは外部のネットワーク(=インターネット)と接続する機器として使い分けされる場合が多いようです。

実際に大規模なネットワークではない家庭内ネットワークではレイヤ3スイッチが利用されることはほとんどなく、その代わりにルータのみが利用されているのが現状です。

LAN

LAN (Local Area Network)とはその名の通り、ローカルなネットワーク。―つまり狭い範囲で形成されるネットワークを指します。

LANとは何か?LANとWANの違いは?について気になった方は以下の記事も要チェック!

まとめ レイヤ3スイッチとは?

  • ネットワーク層(レイヤ3)で動作する高機能なスイッチ。
  • IPアドレスを使用してデータパケットのルーティングを行う。
  • L2スイッチ(レイヤ2スイッチ)の機能に加え、ルーティング機能も備える。
  • 異なるサブネット間の通信を効率的に処理する。
  • 高速なデータ転送とネットワークのパフォーマンス向上に貢献。

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