日常生活で使用するスマートフォン、インターネット、電子機器、それらすべての背後にあるのがプログラミングです。
近年ではプログラミングが教育の現場でも行われるなど、その重要性が叫ばれていますが、一体プログラミングとは何でしょうか?
端的に言えば、プログラミングとは「プログラム(コンピュータに対する命令)を作成すること」です。
プログラムがどのように作成され、どのように機能するのかを学ぶことで、私たちが普段利用しているテクノロジーがどのように動作しているのかを理解することができます。
この記事ではそもそもプログラミングって何?プログラミングスキルが身につくと一体どんなメリットがあるの?プログラミングを学習するにはどうすればいいの?という疑問をお持ちの方に現役のプログラマーがわかりやすく簡単に3分程度で解説します。
できるだけ専門用語は利用せずにご説明します!
最後まで読めば、プログラミングの具体的なイメージやプログラミングスキルを身につけるメリットを理解することができます。是非ゆっくりと最後までご覧ください。
プログラミングとは何かをわかりやすく
一言で説明すると、プログラミングとは「プログラムを作成すること」です。
もっと簡単により本質的な表現をすると、プログラミングとは「コンピュータに何をしてほしいかを教えること」です。
例えば、スマホの電卓アプリは、①数字を入力してから、②足し算や引き算のボタンを押すと、③答えが出てきます。これができるのは、誰かがプログラミングを使って、電卓アプリに「①ユーザーが数字と、②計算方法を入力したら、③それに従って計算して答えを表示するように」と教えている(=プログラミングしている)からなのです。
その指示をコンピュータが理解できるように書くのが、実際のプログラミングの作業。これがプログラムと呼ばれるもので、具体的な計算方法や操作手順をコンピュータに教えるためのものなのです。
プログラミングは、ゲームを作ったり、Webサイトを作ったり、大量のデータを分析したり、ロボットを動かしたりと、様々な場面で使われています。
これら全ての背後には、プログラミングによって何をどう動かすかがきちんと指示されているので、様々なサービスが正常に動作するのです。
コンピュータは曖昧な指示では動かない
重要なのは、人間とコンピュータは全く違う方法で考えるということ。
私たち人間はあいまいな情報でも理解できますが、コンピュータはそうはいきません。コンピュータは、非常に明確な指示がないと何も動けないのです。だからこそ、プログラミングで私たちの考えをコンピュータが理解できるように書き下すことが重要となります。
これからプログラミングを学ぶためには、まずはこの「コンピュータに何をしてほしいかを教える」という考え方を理解することが大切です。それが、テクノロジーが私たちの周りでどう動いているのかを理解する第一歩となります。
プログラムの動作原理を簡単に
プログラムがどのように動作するのかを理解するためには、まずコンピュータがプログラムをどのように読み取り、実行するのかを見ていきましょう。
以下にコンピュータがプログラムを読み込み実際にその処理を行うまでの流れを示します。
ステップ1:コンピュータがプログラムを読む
コンピュータは、プログラムの各行に書かれた命令を順番に読み込んで実行していきます。プログラム自体は基本的に一連の命令で構成されており、その命令はコンピュータが理解できる特殊な形式で記述されています。
具体的には、プログラムはコンピュータの中の「プロセッサ」に読み込まれ、プロセッサがその命令を解釈して実行します。命令は一つずつ順番に実行され、プログラムが終了するまでこのプロセスが続きます。この一連の操作が、コンピュータがプログラムを「読む」という操作です。
たとえば、以下のようなプログラムを考えてみましょう(Pythonというプログラミング言語を例に説明します。)
a = 5 b = 10 c = a + b print(c)
このプログラムを「読む」時、コンピュータは次のように実行します。
このように、コンピュータはプログラムの各命令を一つずつ読み込んで解釈し、それを実行していく点がポイントです。
参考 変数とは?
ステップ2:コンピュータがプログラムの命令を解釈する
コンピュータが理解できる言葉は、私たちが日常的に話す言葉とは大きく異なります。コンピュータが理解できるのは「0」と「1」だけ。
この「0」と「1」だけで構成された言葉を「バイナリ」や「機械語」「マシン語」と呼んだりします。
print("Hello, World!")
上記のコードは「Hello, World!」という文字列を出力する指示をしています。
しかし、コンピュータのプロセッサはこのPythonのコードを直接理解することはできません。(先ほど説明した通りコンピュータは「0」か「1」しか理解することができません。)そのため、このPythonのコードは、コンピュータが理解できるマシン語に変換される必要があります。この変換を行うのが「インタプリタ」や「コンパイラ」と呼ばれるプログラムです。
ステップ3:機械語の実行
Pythonのようなインタプリタ型言語の場合、インタプリタはプログラムの各行を順番に読み取り、それを機械語に変換し、プロセッサに送ります。そして、プロセッサはその機械語の命令を実行します。この一連の流れがリアルタイムで行われます。
最終的に、マシン語に変換されたプログラムは、コンピュータのプロセッサによって解釈・実行されます。このとき、プロセッサは機械語の各命令を解釈し、それに従ってハードウェアの制御を行うという流れ。
コンピュータは「①1行1行プログラムを読みとること」、その際コンピュータは機械語しか理解できないので、「②インタプリタやコンパイラによってプログラムを翻訳してもらう」という点を押さえておきましょう。
プログラムは条件に応じて動作を変えることができる
プログラムはただの一連の命令だけではなく、条件に応じてその動作を変えることもできます。
「もしユーザーがマイナスの数値を入力したらエラーメッセージを表示する」といった「if文」、または「ユーザーが止めるボタンを押すまで同じ動作を繰り返す」といった「ループ」などの機能を使って、プログラムはより複雑なタスクを実行することができます。
様々なプログラミング言語
プログラミングとは、コンピュータに命令を出す手段ですが、その命令を伝える方法は1つではありません。人間が様々な言語でコミュニケーションを取るように、プログラミングにも色々な「言語」が存在します。
アメリカ人が英語を、日本人が日本語を話すように、利用するシーンや目的に応じてプログラミング言語を使い分ける必要があるという点を理解しましょう。
それぞれのプログラミング言語には、特徴や利用されるシーンが異なります。以下に代表的なプログラミング言語をいくつか記載しておきます。
簡単なプログラムの例
ここからはプログラミングとは何か?をより具体的にイメージできるように、いくつか簡単なプログラムの例をご紹介していきます。
内容はとても簡単なものばかりですが、複雑なプログラムも以下の基本的な処理の組み合わせで実現されているので、1つひとつの例を丁寧に理解していくことがとても重要です。
例1 「Hello, World!」を出力するプログラム
print("Hello, World!")
このコードを実行すると、コンソール(画面)に "Hello, World!" と表示されます。
例2 二つの数値を足すプログラム
number1 = 10 number2 = 20 sum = number1 + number2 print("The sum is", sum)
このプログラムでは、最初に二つの数値(10と20)をそれぞれ変数number1
とnumber2
に格納します。
次に、これら二つの変数を足して、その結果を新たな変数sum
に格納します。最後に、その合計値を表示します。このプログラムを実行すると、コンソールに "The sum is 30" と表示されます。
例3 リスト内の数字をすべて足すプログラム
複数の数字が格納されたリストがあり、そのすべての数字を足すといったプログラムも作成できます。
numbers = [1, 2, 3, 4, 5] total = sum(numbers) print("The total is", total)
このプログラムでは、まずリストnumbers
に1から5までの数字を格納します。次に、Pythonの組み込み関数sum()
を使ってリスト内の数字を全て足し、その結果をtotal
に格納します。最後に、その合計値を表示します。
例4 条件に応じたメッセージの表示
ある条件に応じてメッセージを表示するプログラムも作れます。次の例では、変数age
の値によって出力するメッセージが変わります。
age = 20 if age >= 20: print("You are an adult.") else: print("You are not an adult.")
このプログラムでは、まず変数age
に値20を格納します。その後、if
文を使ってage
が20以上であるかどうかを確認します。20以上であれば"You are an adult."と表示し、そうでなければ"You are not an adult."と表示します。
これらのプログラムはすべてPython言語を使用していますが、他の言語でも同様のプログラムを作成することができます。プログラムの構造や流れを理解することが、プログラミング学習の初めの一歩となります。
プログラミングを学習するメリット
それではプログラミングを学習するメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
プログラミングを理解することで得られるメリットを具体例を挙げながら解説します!
メリット1:問題解決能力の向上
プログラミングは基本的には問題解決の一連のプロセスです。これは具体的なプログラムを作成するタスクだけでなく、日常生活や職場での問題解決にも応用することが可能。
例えば、ある会社で顧客データを管理するシステムが必要になったとします。これは一見大きな問題に見えるかもしれませんが、プログラミングのスキルを持つ人はこの問題を小さな部分に分解することができます。
プログラマーは上記のように課題を分解。そして、それぞれの小さな問題に対して解決策を考えていきます。
このように、プログラミングを通じて問題を小さなパーツに分解し、それぞれに対する解決策を系統的に考える能力が養われます。これはプログラミング以外の場面でも非常に有用なスキルであり、論理的思考や計画性、組織力の向上にも繋がります。
メリット2:自動化と効率化
プログラミングは繰り返し行われる作業や時間がかかる作業を自動化するための強力なツールです。これにより時間の節約、作業ミスの減少、そして作業の効率化が可能になります。
例えば、ある会社で毎月大量のレポートを作成するという作業が必要だとします。これは手動で行うと時間がかかり、またミスをする可能性もあります。
しかし、プログラミングを用いれば、データの収集、整形、レポート作成までの一連の作業を自動化することが可能です。
プログラミングを学ぶことで、手動で行っていた作業を自動化し、効率化することができます。これにより、より重要な業務に時間とリソースを割くことができるようになります。
これまで毎日3時間かけて行っていたことを1分で完了させることができるようになると、空いた時間でもっと別のクリエイティブな作業に時間をさけるようになるでしょう。
メリット3:キャリアの幅が広がる
プログラミング能力は現代の多くの職種で求められるスキルです。それはエンジニアだけでなく、デザイナー、マーケター、プロジェクトマネージャーなど、様々な職種でプログラミングスキルが役立ちます。
また、フリーランスとしての活動や起業にも繋がります。
例えば、デザイナーがWebサイトのデザインを作る際、プログラミングの知識があると、自分で作成したデザインを実際のWebサイトに反映することができます。また、マーケターが広告のパフォーマンスを分析する際、プログラミングを用いてデータを収集・解析するなどといった例も考えられるでしょう。
プログラミングスキルを身につけることで、自分でサービスやアプリを開発し、起業する道も開けます。自分のアイデアを形にすることができ、社会に新たな価値を提供することが可能となります。
このように、プログラミング能力を持つことで、自分のキャリアの選択肢が大きく広がるのも大きなメリットの1つです。
メリット | 説明 |
---|---|
問題解決能力の向上 | プログラミングを学ぶことで、問題を小さなパーツに分解し、それぞれに対する解決策を系統的に考える能力が養われます。これはプログラミング以外の場面でも有用なスキルであり、論理的思考や計画性、組織力の向上にも繋がります。 |
自動化と効率化 | プログラミングは繰り返し行われる作業や時間がかかる作業を自動化するための強力なツールです。これにより時間の節約、作業ミスの減少、そして作業の効率化が可能になります。 |
キャリアの幅が広がる | プログラミング能力は現代の多くの職種で求められるスキルです。それはエンジニアだけでなく、デザイナー、マーケター、プロジェクトマネージャーなど、様々な職種でプログラミングスキルが役立ちます。また、フリーランスとしての活動や起業にも繋がります。 |
プログラミングの学習方法
最後にプログラミングを学習する方法を解説します。1番手っ取り早いのは専門のプログラミングスクールを無料体験から始めることですが、他にも様々な方法があります。
ここでは筆者個人の経験を交えて、プログラミングの学習方法をご説明します。
方法1:無料のWebサイトで独学
趣味程度でプログラミングを学習したい方は無料のWebサイトで学習していくのがおすすめです。
これまでも独学で資格試験の受験に成功してきた方などはこの方法がコスパ的にも最高です!
ですが、筆者の経験談を踏まえると、学習開始前に以下の点にも留意しておくことが重要。
無料のWebサイトでプログラミングを学ぶにはメリットとデメリットが存在します。
自分自身の学習スタイルや目的、また学習の進め方によって最適な学習方法は変わるので、それらを考慮して選択すると良いでしょう。
方法2:参考書を利用する
プログラミングに関する書籍は非常に多く、自分が学びたいプログラミング言語や分野に応じて選ぶことができます。また、書籍には深く踏み込んだ内容や、一連の学習フローがまとめられていることが多いため、体系的に学びたい人には特におすすめです。
以上のようなメリットがある一方で、書籍は情報が古くなる可能性がある、具体的な問題に対するフィードバックを得るのが難しいなど、デメリットも存在します。それらを考慮に入れつつ、最適な学習方法を選びましょう。
方法3:プログラミングスクールを利用する
プログラミングスクールを利用するのも、1つの効果的な学習方法です。以下にそのメリットとデメリットを示します。
プログラミングを学ぶ方法はたくさんあります。無料のWebサイト、書籍、そしてプログラミングスクール。それぞれが自分の進行速度や目標に合わせて選べる利点を持っています。
しかし、プログラミングスクールにしかない存在しない大きな利点は「転職保証」です。
これまでプログラミングに縁がなかった人が、いきなりプログラマーやエンジニアとして採用されて、その会社でちゃんと活躍するには正直厳しいものがあります。(新卒で採用される場合は会社のトレーニングがあるので例外。)
単純に知識だけ学びたい場合はプログラミングスクールは不要です。無料のWebサイトで全然カバーできます。もしくは、月数千円で利用できるサブスクリプション型のスクールで十分。
しかし、未経験の状態からプログラマーやエンジニアになりたい(なるだけじゃなく、ちゃんと稼ぎたい!)という方はやはり転職保証は大きな利点だと思います。