ついに達成しました!1人当たりの残業時間20時間削減!!!
2019年4月から残業時間の上限が明確にセットされ、それを越える残業を行った場合には企業に罰則が与えられることになりました。被雇用者にとっては夢のような・・・雇用者にとっては悪夢のような法律です!
労働時間の上限が法律で決められたとしても、その法律によって仕事の量が減るわけではありません。
その中でどのように生産性を上げて、残業時間を減らすか?このページでは実際に効果絶大だった「残業時間の削減方法」を自分自身への備忘を兼ねて書き残しておこうと思います。
取ったアクションはたった2つですが、20時間の削減につながりました。勤務時間を計上させない!とか、無言のサビ残プレッシャーをかける!とかは一切していません。というより、自分自身も勤務時間は管理される側だったりするので、そういう権限すら持ちませんのでご安心ください。
2つの方法を実践するにあたり、何故その施策なのか?とか、前提条件も含めて説明していきたいと思います。
前提:「生産性」という言葉の罠
仕事の生産性を上げるには・・・という話の罠について―。
早速ですが、以下の図をご覧ください。戦略コンサルタント出身の方などが残業時間削減について解説する際に書いてくれるものです。
この図から、分かること―。それは、生産性を上げるには「スキル」を上げるしかないということです。あるタスクを今までよりも早く完了させるためには、時間かスキルのどちらかを上げるしかない―。そして、時間を増やすには限界があるので、生産性を上げるには「スキル」を磨くしかない!というのが結論です。
だけど、そんなこと言っても、スキルはいきなりあがりませんよね?
現場にいる人間としては、「理屈は分かるけど、そうじゃないだろ・・・!」というのが本音です。例えば、
「全社員の生産性向上に向けて、外部から講師を呼んでレクチャーいただくことになりました!」
とか
「時間あたりの生産性を意識するために業務報告を1時間単位でするように!」
とか・・・そうじゃないだろ感。
この記事に書いてあるのは、そういう内容ではありません。どちらかというと、メンバーのスキルは急激には変わらない!という前提で話を進めます。なので、この話は、タスク量を下げるというのがメインの思考になります。
今までの定石を覆す「タスク量」を減らすアプローチで働き方改革に臨んだ体験談をここに記します。
では、本題に移ります。
まず、初めに行ったこと―。それは「MUST only」でした。
1.「MUST only」でタスクを考える
この記事を書く約半年前。チームに「残業時間削減」のタスクフォースが立ちあげられました。メンバー間のディスカッションでは、定型作業のマクロ化とか、定例ミーティングの効率化が話題にのぼりました。が、実際その改善案を実行する時間的な余裕がないから、今このミーティングがあるんだろうということで却下。
そして、なんか「わくわくしない」という理由もあって、多少大胆な施策を打つことにしました。それが
意味ない仕事は放棄する作戦!
でした。やらないと「誰かが困る」とか「誰かが不便になる」といったレベルのいわゆる「やったほうがよい仕事」は全て放棄するというのが基本思想です。全ての仕事を「やらないと困る」ものに限定しようとしたのです。
「ボトルネック」にならない限りタスクの実施禁止
「これから1週間は、自分以外の人の仕事を止めてしまうタスク以外は全て無くします!」
いきなり、すごいことを言いだしたな。このチーム。という感じでした。
え?ほんとにやらなくてよいの?
なんて声も聞こえてきましたが、それぐらい劇的な刺激でないと1か月あたりの作業時間は絶対に減らないという信念で何とかGOサインをゲット。そしてついにこの施策がスタートし、次々といらないタスクがなくなっていったのです。
実施をやめたタスクを一覧化
各部門でどんどんタスクがなくなり、ついに定時帰りメンバーがちらほら出現。一定の成果が目に見えるようになってきたので、どんなタスクがなくなったのかを一覧化してもらいました。
他のチームや現場で応用が利くように、そして参考となる情報を共有するのが目的ですが、面白いことが分かってきました。以下では、チーム内で起きた代表的な変化を4つ挙げておきます。
① 「定例」と名の付く会議の廃止
毎日やっている現場も多いかと思います。朝会・夕会・週次ミーティング、月次ミーティング等々。これらが、全て無くなったのです!!!
多少は残るんじゃないかな、なんて予想から大きく外れました。確かに考えてみれば「定例会議」を無くしたところで誰かの仕事が進まなくなることはありませんね・・・。チームメンバーも思わぬ発見と反省だったようです。
② 日報などの毎日の報告系タスクの廃止
報告系のタスクは誰のために存在するか?それは言うまでもなく管理職のためですね。
管理職(※勤務時間やタスク進捗を管理する)は、メンバーからあがってきた情報を基に翌日以降のタスクのスケジューリングを行ったり、メンバーごとのスキル把握やタスクの問題点などを整理したりするのが主なタスクとなります。この仕事がないと、メンバーへのタスク割り当てが行えません。
したがってこのタスクはチーム運営のために必要そう(MUSTなのでは?)に見えるかもしれませんが、結論日次では必要ないタスクに分類されたようです。日次ではなく、週次、あるいは一定の期間の報告をまとめて実施するといった形になりました。日次報告が廃止―。週次報告へのタスク変換がなされました。
③ 承認系タスクの廃止(権限の委譲)
1週間毎日「これ必要か?」を考える中で無駄ではないかという声があったのが、承認を得るというタスクです。
考えてみれば1日の中でも、残業・休暇申請、特殊な作業の作業申請、システム系の職場だったので設計書の変更申請など・・・実に多くの申請・承認がなされていることが分かります。
確かに、仕事上、承認が無くても作業自体は進みますね(笑)
そして、実際に承認がなくなっていったのです。自分で判断してよい、つまり自己承認や承認フローの極小化が進み、驚くほどタスク消化率が良くなりました。逆に承認を得る必要もなくなった影響で作業者の責任も大きくなったり、精神的な自由が生まれる結果も生じました。
④ 9時出社という概念の廃止
これはタスクフォース内でも「それいいの?」という声が上がりましたが、一度GOしてしまったため見守るしかありませんでした。私の中ではこれが一番面白いと思っています。
そもそも9時に出る必要ないのでは?という極限の思考です。たしかに9時出社をやめることで誰かの仕事を止めないのであれば、9時出社しなくて良いというルールには当てはまります。
朝、全員が集合する必要はないので、10時出社や13時出社もちらほら出てきました。が、これはあまりにも強烈だったので1つだけルールを加えて実施しています。それは
遅く来ても定時に帰宅する!
です。遅く来て遅く帰る、というのはただのフレックス制ですし、勤務時間の削減になりません。今回の施策の目的はあくまでも「残業時間の削減」です。そこに制限を加えることで、これも残業時間の削減に寄与することとなりました。
ここまで紹介してきた他にも「座学研修の廃止」や「資料印刷の完全禁止」など、様々な無駄が廃止されていきました。
仕事を無くしてもいつもと変わらない日常がそこに
ここまで無くしたら仕事進まないんじゃないの?と疑う人もいるかもしれません。が、仕事の進捗状況や仕事の質には全く影響は出ておりません。
施策の性質上、特定のメンバーにしわ寄せがいくことになるのではないかと危惧していたのは事実です。しかし、予想と反して特定のメンバーに大きな負担を強いる結果にはつながらないのです。
負荷がかかるメンバー自身のタスクも減っている
今回の施策で言えばやはり「管理職の負担」が増える施策が多く実施されました。日次での報告が上がらない分、必要に応じて自ら情報を探しにいく手間が増えてしまったり、個別の案件の進捗状況も自分で把握しにいったり、などその点やはり日次で報告したほうが良いのでは・・・?という危惧が生まれていたのです。
しかし、その管理職のメンバー自身もこれまで行っていた日次報告や、承認系のタスクがなくなったことと相殺され、総合的にみればむしろ残業時間は微減する結果となりました。
これは、本来管理職が注力すべきタスクに取り組めている状況になったようにも見受けられます。その意味からも、いらない仕事をどんどん無くしていくというのは有効な施策です。
2.コミュニケーションを非同期にする
仕事をどんどん無くしていった3週間後のタスクフォースミーティングで、次の施策を打ち出しました。
それが、非同期コミュニケーションの活用です。
非同期コミュニケーションとは?
非同期コミュニケーションの対義語は「同期コミュニケーション」です。同期コミュニケーションとは、口頭での会話や電話での会話など「リアルタイムでコミュニケーションをとること」を指し示します。
同期コミュニケーションでは「相手の表情がわかる」「声のトーンでニュアンスが伝わる」などのそんな気もするようなしないような曖昧なメリットがある一方、「連絡する相手の状態を考慮できない」「会話の結果がのこらない」の明確なデメリットが存在します。
① 相手の状態を考慮できない
作業を進めて集中力が高まりノリノリな状態で、いきなり「進捗どう?」なんて聞かれて際にはたまったもんじゃないですよね。それまでの集中力もリセットされてしまうのは私だけではないでしょう。急を要する場合以外は避けたいコミュニケーション方法です。
メールやチャットであれば、相手の都合が良いタイミングでコミュニケーションをとれるため集中力を切らす、作業を中断させるなどの弊害は起きません。
② 履歴が残らない
また、相手の状況という観点以外にも「言った言わない」問題があります。
口頭や電話などの非同期コミュニケーションでは「言った言わない問題」が常に付きまとうのです。これは仮に議事録をとったとしても、その議事録についてお互いが合意をするという無駄な手順を踏まない限りは起こりえます。
その点、同期コミュニケーションでは常に会話の履歴・結果を残すことができるため、無駄な論争をさけることができます。また、文字でコミュニケーションをとる形になるので、ニュアンスでなんとなく仕事が進んでいくという危ない状態も避けることができます。
チームメンバーの作業を遮らないことで生産性を向上させ、明確なコミュニケーションで作業の手戻りを無くすことを目標に、自分たちのチームではTEAMSを活用することになりました。
TEAMSの活用
ビジネスチャットツールはSlackやLINEWORKSなどが有名ですが、今回はMicrosoftが提供しているTEAMSを利用します。
※なぜ、TEAMSにしたか?は別の記事で解説したいと思います。
TEAMS導入時の注意点は?
TEMASは最近伸びてきました。頻繁にアップデートや機能改善も行われていますし、Office365を契約している会社であればすぐに導入が可能です。Excelなどの各種オフィス系ソフトとも相性が抜群です。
しかしながら、運用をしていく中である程度の注意が必要なことが分かりました。1つ目は、社内への浸透。そして2つ目が利用ルールの徹底です。
TEAMSを浸透させるために社内間でのメール禁止
まず行ったのが、メールの禁止です。どの組織でも従来の「使い慣れたツール」というのは、なかなか手放せないものです。いくつかの例外は設けつつも、基本的には社内でのメールは一切禁止とし、社内のコミュニケーションはTEAMSに集約したのです。
結果、TEAMSでのコミュニケーションが全部門的に活用される形が出来上がりました。
無駄にメンションしない
TEAMSは、CCの宛先に含まれるレベルの「関係者」としてその案件に含まれていなくても、同じチームに含まれていればどんな話題でも知ることができます。
したがって、必要であれば必要な時に情報収集が可能なツールなのです。それまでの社内メールのデメリットは、メールの重要性に全く強弱がついていないことでした。CCという意味のない便利な機能のおかげで、不用な情報が送付されまくる結果となり、重要な情報が埋もれてしまうことにつながりました。
同じ過ちを繰り返さないため、今回は「直接の相手以外にメンションしない」というルールを設けたのです。メンションされれば、すなわちそれは重要な情報であるし、そうでなければ知りたいときに探せばよいのです。
非同期コミュニケーションで起きた変化
この2つのハードルを乗り越えて軌道にのってきた結果、社内にこんな変化が起こりました。
① チーム全員が案件に詳しくなる ⇒ 情報共有時間の短縮
早速ですが、予想外の変化です。メンション数のルールを設けて情報量を制限したはずが、なぜかチームメンバー全員「ちゃんと目を通している」状態になるんです。
「MUST only」施策で定例会議という会議を無くしたのですが、それとの相乗効果で全員が「情報を自ら取りに行く」という姿勢がここで生まれることになったのです。
結果、余計なコミュニケーションや、会話の前提を共有するなどの時間が減り、随時で開催されるミーティングの時間が平均して15分減ることになったのです。
② コミュニケーションロスがなくなる
ここで言うコミュニケーションロスというのは「何回も同じ内容を聞く」とか「あれどういうことだっけ」とか、最初に行った「言った言わない」問題のことです。
一度話して決着がついた話題を蒸し返されることがなくなった!
若手エンジニアの喜びの声です。もはや説明は不要でしょう。
加えて、「お疲れ様です。〇〇チーム△△です。・・・・ ~以上です。よろしくお願いします。」のメールの定型文を打つ時間。あれ本当に無駄の極みですよね。TEAMSではツールの性質上このような無駄が発生しないので、コミュニケーションに関わる無駄な時間がグッと抑制されることになりました。
③ 定時後の会議がなくなる
そして何より、これが1番大きいです。
「Must only」の取り組みで会議はほとんどなくなりましたが、それでも管理職以上の会議は全てがなくなったわけではありませんでした。管理職といえど、自分が抱えている定常業務は昼の内に終わらせておく必要があるので、管理職同士が時間を合わせて会議をするのは、たいてい定常業務が終了し全員が空いている「定時後」でした。
が、TEAMSを導入した結果どうなったでしょう。
各管理職メンバーが、作業の空いている時間に会議で共有する内容をTEAMSにポスト―。他の人がそれに反応しクエスチョン。また更に他の人が・・・・。この繰り返しで会議前にその日のうちに共有すべき内容は共有済の状態になるのです。
自分の作業の空いた時間、人によっては電車の移動時間ですら情報共有に使えるのが非同期コミュニケーションツールの最強のメリットです。
非同期コミュニケーションの徹底で、社内の無駄なコミュニケーションが削減されることで残業時間の短縮を実現することができました。どれだけ、コミュニケーションロスに無駄な時間を費やしているでしょうか?振り返るのも恐ろしいです。
「MUST only」と「TEAMS」で・・・
正直、ここまでである程度の効果が見えてきました。TEAMS導入から約2か月後にそれまでの平均残業時間は1か月あたり15時間削減できていたのです。
仕事の質も・時間も変えずに量だけ減らす!
この記事の内容は、この思想をもとに実践している働き方改革を随時アップデートしています。ぜひ、あなたの会社の生産性向上Tipsも共有ください!