SAPのFIモジュールの重要知識の1つ。会計期間の考え方と仕組み・設定方法を3分で解説します。
会計期間とは、一言で言うと会計伝票を転記できる期間のこと。正確な財務諸表の作成がゴールとなるFIモジュールにおいて、これを知らないと結構マズイかも。
3分ぐらいで理解できる内容ですので、このページで会計期間の仕組みと設定を頭に入れておきましょう。
SAP:会計期間(FI)とは?
SAPにおける会計期間とは、会計伝票を転記できる期間のこと。
通常、SAPを導入するような大企業は月単位で毎月の業績を管理します。会社の資本がどれぐらいあり、費用がどれだけ積みあがっているか?それらの結果を以て、次月以降はどのような経営企画を立案すれば良いか?
これらの基となる会計情報をインプットすることができる期間を制御するのが、SAPの会計期間という考え方です。
例えば、ある年の3月の業績を確認したい場合。SAPではいつでも財務諸表を出力することができるため、すぐに財務諸表を出力すれば3月度の業績を管理することは可能。しかし、例えば4月とか5月になってから、3月分の費用を計上したり、3月分の売り上げを入力できたりしてしまったらどうでしょう。財務諸表はいつまでたっても金額が確定しなくなってしまいます。
それを防ぐために、SAPでは伝票を転記できる期間を制御することが可能。3月に入れるべき仕訳は、3月のうちに。決して5月とか翌年の3月に入れることができないようにします。
SAPには、会計伝票の転記を制御する会計期間(FI)だけでなく、品目の移動を制御する品目期間や管理会計(CO)の伝票を投入できる期間を制御するCO会計期間など様々な「期間」制御が存在します。
それぞれのモジュールで制御する対象が異なるため注意が必要です。
転記日付と伝票日付
SAPの会計期間で制御するのは転記日付です。転記日付とはその名の通り「転記」を行う日付で、これは簿記のルールに沿って入力する必要があります。
実際の例で言えば、商品を買った日付、売掛金が発生した日付など。他の日付情報と異なり、転記日付はどの会社でも同様に「取引が発生した日付」を入力する決まりで、様々ある日付情報の中で最も重要な項目です。
会計伝票には、転記日付の他にも伝票日付や登録日付など様々な日付情報が存在しますが、会計期間(FI)で制御をかけているのはあくまでも転記日付であるということを理解しておきましょう。
会計伝票における様々な「日付」について詳しく知りたい方はこちら。
「転記日付を間違って入力してしまった・・・。」いざというときのために頭に入れておくと役立つです。
OB52:会計期間のオープン・クローズ
ここからは実際に会計期間をオープン、クローズする方法の解説です。トランザクションコード:OB52から、制御を行います。
赤枠部分と緑枠部分の2つの期間があります(詳細は次章で解説)が、上記の例では2020年1月~2021年3月の期間がオープンしており、この期間内で会計伝票を転記することが可能です。
開始と終了の期間を入力するだけの簡単な画面です。もし、2020年4月だけを転記可能にしたい場合は、開始と終了をともに「2020 / 1」に設定するだけ。間違って登録してしまったとしても何度でも修正が可能です。
会計期間(FI)は、期間指定をしているだけであり、例えば残高繰越など「締め」の処理が行われるわけではありません。
したがって、例えばどうしても過去の期間を再オープンしたいという場合は、Tr-Cd:OB52で開始の期間を修正するだけでOK。ただし、その場合は前半で説明した通り、会計のルールから逸脱することになる(いわゆる粉飾決算の可能性があり)ため、適切な理由が必要となるため注意しましょう。
開始期間 / 終了期間 が2つ存在する理由
会計期間が2つ存在する理由について。
結論から言うと、この2つの期間は特権ユーザ(経理部などの一部のユーザ)用と、一般ユーザ用に分けられています。
例えば、一般のユーザには3月だけ会計伝票転記ができる状態にしておき、経理部などの一部ユーザは3月だけでなく2月の伝票も転記できるようにしたりすることができます。
期間1(赤枠部分)は、一番右側の権限「TEST」を割り当てられているユーザだけが転記できる仕組みです。
実際の権限設定の画面(PFCG)は以下の通り。この権限を保有するユーザが、期間1の会計期間を参照する仕組みです。
ユーザと権限の仕組みを1から知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。
これで、FIの会計期間の考え方・仕組みは以上です。各企業で定められた業務ルールに基づき、適切な設定・運用を行いましょう。
SAP/ABAPを1から学習したい方は
SAP/ABAPを1から学習したい初心者の方向けに、できるだけ網羅的にABAPが理解できるよう以下ページに知識体系を整理しています。
特に初心者のうちは、どこから学べばよいか?どう勉強すれば良いか?すらわからない状態になりがち。
ある程度の知識を持ったうえで、はじめて実践的な理解へとつながります。
是非、一度ご覧になってみてください。