デフォルトゲートウェイは、コンピューターネットワークにおける不可欠な要素で、異なるネットワーク間の通信を可能にする重要なデバイス・機器・設定です。簡単に言うと、デフォルトゲートウェイは、あるネットワークから別のネットワークへデータを送る際の通過点またはアクセスポイントとして機能するもの全般を指すネットワーク用語です。
参考 ネットワークとは?
日常生活で例えると、例えば家から外に出るときは玄関を通りますが、この玄関のことをデフォルトゲートウェイと呼ぶようなイメージ。家庭内ではルーターがその役割を担う場合が一般的です。
具体的にいうと、私たちのコンピューターやスマートフォンが、自身のLAN(例えば自宅やオフィスのローカルネットワーク)からインターネットにアクセスするためには、このデフォルトゲートウェイを通過する必要があります。デフォルトゲートウェイは、データを正しい目的地にルーティングする役割を担い、インターネット上の他のネットワークとの接続を確立します。
参考 ルーティングとは?
この記事では、デフォルトゲートウェイの基本的な機能、その仕組み、そして日常の使用における重要性について深く掘り下げていきます。
デフォルトゲートウェイとは何か?
ネットワーク初心者にとっては理解しづらい内容かもしれませんので、最初はできるだけわかりやすく日常生活に例えて説明を進めます。
デフォルトゲートウェイを理解するためにあなたの住む「町」に例えて考えてみましょう。
町には家や店があり、町の中での活動(例えば隣の家への訪問や店での買い物)は町の内部で完結することができます。他の町(=ネットワーク)がどのような状況であれ、その町に必要なお店があれば必要な買い物をすることが可能です。しかし、他の町にしか存在しないお店に行く必要があるシーンも出てくるでしょう。
このときあなたは町の出入り口を通る必要があります。
デフォルトゲートウェイはこの町の「出入り口」のようなもの。コンピューターやスマートフォンがあなたの「町」(ローカルネットワーク)内で情報をやり取りする場合はすべて町内で完結します。しかし、インターネット上の別の「町」(他のネットワーク)へ情報を送る(またはそこから情報を受け取る)場合、デフォルトゲートウェイを通る必要があるということです。
家庭内のプリンターやスピーカーにデータを送る場合には他のネットワークの情報を必要としないのでデフォルトゲートウェイは通らない。しかし、インターネットを通じて音楽を聴いたりWebページを閲覧するような場合は、他のネットワークに繋げる必要があり、この場合にインターネットと家庭内のLANの橋渡し役となるのがデフォルトゲートウェイです。
一般的にはこのデフォルトゲートウェイはルーターがその役割を担っています。ルーターがダウンしてしまうと、WiFiが使えずネットが利用できなくなることを考えるとわかりやすいかと思います。
ポイント デフォルトゲートウェイの役割
- 情報の適切な送り先への案内: デフォルトゲートウェイは、町の外へ出る情報(例えばウェブサイトへのアクセス要求)を正しい目的地に向けて案内します。
- 安全な町の門番: あなたの町(ネットワーク)を守る門番のように、デフォルトゲートウェイは不要な情報や危険な訪問者(サイバー攻撃)からネットワークを保護します。
デフォルトゲートウェイの基本的な機能
デフォルトゲートウェイが何なのか?がふんわりイメージできたところで、ここからはデフォルトゲートウェイの具体的な機能・技術的な側面からの定義をより専門的に見ていきましょう。
ネットワーク間の通信の仲介
- デフォルトゲートウェイは、異なるネットワーク間での通信を可能にします。例えば、あなたのコンピューターがインターネット上のサーバーにアクセスしようとする場合、そのリクエストはまずデフォルトゲートウェイに送られます。
- このデバイス(家庭利用の場合は基本的にはルーター)は、リクエストをインターネットへと転送し、サーバーからの応答をローカルネットワーク内の適切なデバイスに戻す役割を果たします。
データのルーティング
- デフォルトゲートウェイは、データパケットが目的地に到達するための最適な経路を決定します。これは、複数のネットワーク経路が存在する場合に特に重要です。
- ルーティングの決定は、ネットワークの効率性と速度に大きく影響を与えます。
セキュリティとネットワーク管理
- セキュリティの観点から、デフォルトゲートウェイは不正なアクセスや攻撃からネットワークを保護するための重要なポイントです。
- ネットワーク管理者は、デフォルトゲートウェイを通じてネットワークのトラフィックを監視し、適切な管理やトラブルシューティングを行います。
デフォルトゲートウェイは、単なるネットワークデバイスではなく、ネットワークの効率性、セキュリティ、および全体的な管理において中心的な役割を果たしていることがわかります。
デフォルトゲートウェイの仕組みをさらに詳しく
ここまでのご説明でデフォルトゲートウェイ→端末が他のネットワーク、特にインターネットと通信する際の中継点として機能することが何となく理解できたかと思います。
ここからはさらにエンジニア向けにより具体的にデフォルトゲートウェイとは何か?デフォルトゲートウェイの仕組みはどうなっているか?をご説明。
自分のパソコンがインターネット接続するまでの通信の流れを追う形で、デフォルトゲートウェイの役割を解説します。
ステップ1 ローカルネットワーク内での通信開始
- PCのネットワーク設定
- 宛先の判定
- PCは、アクセスしようとしているサイトのIPアドレスを調べ、それがローカルネットワーク内か外かを判定します。
ステップ2 デフォルトゲートウェイへのルーティング
- 外部宛先の場合
- もし宛先がローカルネットワーク外(例えばインターネット上のWebサイト)である場合、PCはそのデータパケットをデフォルトゲートウェイに送ります。
- ARPの使用
- この際、PCはARPを使用してデフォルトゲートウェイのMACアドレスを知る必要があります。未知の場合はARPリクエストを送ってデフォルトゲートウェイのMACアドレスを取得します。
ステップ3 デフォルトゲートウェイからインターネットへ
- NATの実行
- デフォルトゲートウェイは、NATを使用してローカルIPアドレスからグローバルIPアドレスへの変換を行います。これにより、インターネット上でユニークなアドレスを使用して通信が可能になります。
- データのインターネット転送
- 変換されたパケットは、インターネットに向けて送出されます。この際、ルーティングテーブルに基づき、最適な経路が選択されます。
ステップ4 インターネット上でのデータ転送
- 目的地サーバーへの到達
- パケットは、様々なネットワーク機器を経由して、最終的に目的地のサーバー(例えばWebサイトのホスト)に到達します。
- サーバーからの応答
- サーバーは応答を生成し、その応答は逆の経路をたどってユーザーのPCに戻ります。
ステップ5 レスポンスの受信と表示
- デフォルトゲートウェイ経由の応答
- 応答パケットは、再びデフォルトゲートウェイを通過し、NATによってローカルIPアドレスに変換されます。
- PCでの受信と処理
- 変換されたパケットはPCに届き、ブラウザなどのアプリケーションによって適切に処理され、ユーザーに情報が表示されます。
このプロセスを通じて、PCからインターネットへの接続が実現されます。デフォルトゲートウェイは、このプロセスの中核となる部分を担い、ローカルネットワークとインターネットの間の重要な橋渡し役を果たしています。
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