IT系の職種(ITコンサルやエンジニア・プログラマー)をこれから目指す方にとって気になる話題―。それが「どの資格を取るべきなのか?」ということ。
そもそも資格なんているの?現場では役に立たないでしょ・・・。なんていう声もあれば、資格は自分のスキルの「証明」になる!という声もあります。
そして、実際どっちが本当なのか分からない・・・。そしてITの資格が必要だとして、一体どの資格から取得すれば良いの?と疑問に思う方は大勢いらっしゃいます。
この記事では、①なぜ資格が重要なのか?②どの資格を取得しておくべきか?を解説したうえで、最後に③どうやって学習すると良いか?を整理してご紹介していきます。
これからエンジニアを目指す方や、現役のエンジニアで1歩上のスキルを身につけたい!という方であれば知っておいて損はない内容です!是非最後までご覧ください。
ITエンジニアに資格はいらない・・・?
結論から言うと、ITエンジニアを目指す方にとって資格は断然「取得すべき」対象です!!
資格を取得するメリットはたくさん存在しますが、逆にデメリットはほとんどありません。
実際「資格なんていらないよ」という声もあります。確かに資格を持っていない人でも、いわゆる "できるエンジニア" と呼ばれる人は一定数います。
まずは上記のような疑問を解決するため、このページでは最初に「資格を取得するメリット・理由」をクリアにしておきたいと思います。
1つひとつ詳しく解説していきます。
IT資格を取得するメリット① スキルの証明
資格を取得することの第1のメリット。それは、自分自身が持っているスキルを客観的に証明できるということ。
例えば、以下の2名のうち、あなたがどちらかを採用することになった場合、経営者としてはどちらを採用するのが良さそうでしょうか?
システムエンジニア志望 / 保有資格:英検2級
システムエンジニア志望 / 保有資格:基本情報技術者・Java SE8
言うまでもなくBさんを採用するはずです。
もしあなたが基本情報技術者を受けたことがなくても、さらにJava SE8という資格の中身を知らなくてもそうするはずです。
実際にその資格の中身を知らない人でも「資格」というだけで「ちゃんと勉強しているんだな・・・」「ちゃんとスキルがあるんだな」という印象を与えることができます。
資格を取得しているだけで、ちゃんと勉強している人なんだな!というイメージも持ってもらえることでしょう。
現場経験や成果をアピールできる人であれば、資格なんて持っていなくてもその人自身のスキルや知識を証明できます。ですが、もし経験や成果がない場合(初めてエンジニアに転職する・初めて就職する)に資格は一番のアピールポイントになります。
IT資格を取得するメリット② 求められるスキルを把握できる
資格取得の第2のメリット。それは、資格を取得する中で、その業界ではどのような知識が求められるかが何となくわかるということ。
例えば、ネットワークスペシャリストの試験を受ければ、ネットワークエンジニアがどういう職業で日々の業務内容や難易度がどんなものなのか?が何となくイメージすることができます。その中で自分に適性があるのか?興味を持てそうなのか?というプレ・転職活動的なことが可能になってきます。
また、資格取得に向けて学習を進めれば、自分自身のスキルや知識量がどれぐらいあるのか?どれぐらいの勉強をどの方法で行えばスキルアップにつながるのか?といった判定を行うことも可能です。
1つの会社、1つの現場に長くいる人ほど陥ってしまうのが知識・スキルの極端化(知識の偏重)。
会計システムのみをやってきた人が、人事システムで苦労する。あるシステム開発のエキスパートが、Webサービスの開発現場では「全くの素人」―。なんてことがIT系の会社では起こりがちです。これは、求められるスキルや知識が場面ごとに異なるために発生します。
このような場合でも、資格取得のための学習は有効です。知識の偏りや、不足している知識・スキルを正していくことができるでしょう。
IT資格を取得するメリット③ 「やりたいこと」のアピールになる
3つ目のメリット。資格取得の最大のメリットがこれです。
「やりたいことは何か?」「やる気はどれぐらいあるのか?」という点を、他人に客観的にアピールできるのが資格取得の最大のメリットと言えます。
IT業界に身を置く人は読みながら「そうだ!」とうなづいている人も多いはず。
IT業界は、他業界と比較しても資格取得が自分のキャリアに影響を与える度合いが大きいと言えます。先ほどの例をもう一度見てみましょう。以下の二人、どちらが「やる気」がありそうに感じられるでしょうか?
システムエンジニア志望 / 保有資格:英検2級
システムエンジニア志望 / 保有資格:基本情報技術者・Java SE8
もし、これが海外留学の面接や、海外拠点メンバー募集の面談であれば圧倒的にAさんということに。ですが、逆にエンジニア職種への転職面談であればBさんの方が圧倒的にやる気があるように見えます。
資格には「やりたいこと」をアピールする力があります。もし、IT企業がエンジニアの新卒採用でAさんとBさん、二人を比べたら「やる気」の面ではきっとBさんを評価するでしょう。
さらに、その会社が「java開発」を多く手掛けていたとすれば、さらにBさんへの評価は上がるはずです。うちの会社は人手が足りているが、、、わざわざjavaの資格を取ってきてくれているのは、ありがたい―。この気持ちはだれにでもあるものです。
この話は、採用のときだけに通じる話ではありません。もし自分が「プロジェクトマネージャー」になりたいと思ったときに、「なりたいです!」と声を上げるだけなのか、それとも「プロジェクトマネージャー」に関する資格を取得した上での発言なのかで、結果が変わります。
IT資格を取得する必要性と注意点
結論、エンジニアなどのIT業界で生きていく人にとっても資格を取得することはかなりのプラス。冒頭でも述べましたが、メリットはあってもデメリットは絶対にありません。自分の今している仕事、これからする仕事へ良い影響を与えることは間違いないでしょう。
ただし、これには条件があります。それは「取得する資格」を誤っていはいけないということ。
極端な話、ITコンサルタントを目指す人がいくら漢字検定1級を持っていても正直ほとんど意味がありません。(転職・就職面接時の話題にはなるかもしれませんが)もし、ITコンサルタントを目指すのであれば、間違いなく情報処理系の資格を取得すべきです。
IT系の職種でエキスパートを目指すのであれば、その分野の資格を取得していく必要があります。ここからは本題の、今取得すべきIT系資格のおすすめ5選をご紹介します。
おすすめIT系資格5選
IT系の資格は大きく2つに分類することができます。1つが経済産業省や独立行政法人などが主管する公的資格(国家資格)。もう1つが企業が主催するベンダー資格です。
種類 | 内容 |
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公的資格 | 法律に基づき政府や国から委託を受けた機関が主管する資格 |
ベンダー系資格 | IT製品を製造・販売するベンダーが主管する資格 |
ベンダー資格の方が特定の分野に特化した内容・知識を問う出題がされる資格(=特定の製品に限定された内容が出題される場合もある)です。その分、保有していると特定の分野のスペシャリストとして認識されやすい(=資格の価値・プレミア度としては高評価)傾向があります。
またベンダー資格は一般的には資格取得から一定期間の有効期限が設定されていることもあり、再認定が必要となる場合も多いです。
一方でその特定の分野以外ではあまり効果を発揮しない・・・という側面もあるため、自分がどのようなキャリアプランを選びたいのか?によって判断する必要があります。
国家資格の方は傾向としては特定の分野(技術)に依存しない資格である場合が多く、その意味で汎用性が高いとも言われますが、現場で役に立つ知識を身につけたい方はベンダー資格がおすすめです。
公的資格の場合は有効期限がなく一度取得できればその後半永久的にスキル証明として利用できるというメリットもあります。
本ページでは目指したいキャリアプランごとに「これだけは取っておいて損はないIT資格」をご紹介します。
まずは、ITエンジニアと名乗るからには全員迷わず取得しておきたい「絶対資格」からご紹介します!
ITエンジニア全員におすすめ:基本情報技術者試験「難易度→中」
総合評価 | ★★★★ |
---|---|
難易度 | ★★★(普通) |
認知度 | ★★★★★ |
アピールポイント | 基本的なIT知識があることを証明できる |
出題内容 | コンピュータの仕組み~企業戦略まで幅広く網羅的に |
ITエンジニアを目指すなら分野問わず是非とも取得しておきたい資格の筆頭格。
基本情報技術者はSEの登竜門と位置づけられている資格なので、特に未経験からエンジニアへ転職しようと考えているのであればうってつけ(=取得していないと恥ずかしいかも・・・)です。
出題内容は、コンピュータの仕組みやネットワーク(インターネット)の仕組み、またデータベースの基礎知識から企業戦略まで幅広く問われるので難易度は決して低くはありませんが、未経験からエンジニアを目指すは取得しておいて損はありません。
応募者数が30万人を超えていることからも推測できる通り、基本情報技術者試験はIT系資格の中での認知度は圧倒的。
1つのアピールポイントとして基本情報技術者試験を取得するのはかなりおすすめです。
基本情報技術者試験に合格するためには、IT全般に関わる知識を広くある程度深く理解することが求められます。また、問題の選択によってはプログラミング言語に関する知識も必要となります。
どのようにIT全般の知識を習得するか?
以下の記事では、合格者の経験に基づいた効率的な勉強法を1から解説しておりますので、是非今日からの学習の参考として役立ててみてください。
上記の記事では「0から独学で合格するための勉強法」を解説しています。ただし、自分はITに関する知識が全くない・・・ので「独学」は厳しいかも・・・。という方はSTUDYingという月額3316円のサービスを利用するのもおすすめ。
以下の記事でSTUDYingの利用法やSTUDYingがおすすめな理由を詳しく解説しています!
ITエンジニア全員におすすめ:応用情報技術者試験「難易度→やや高」
総合評価 | ★★★★ |
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難易度 | ★★(やや難しめ) |
認知度 | ★★★★ |
アピールポイント | 基本情報技術者試験より1レベル上の知識を保有していることを証明できる |
出題内容 | コンピュータの仕組み~企業戦略まで幅広く網羅的に かつ ある程度深く |
応用情報技術者試験は基本情報技術者試験の上位版です。出題される問題は、基本情報技術者試験で出題された内容よりもさらに一歩深く踏み込んだ内容となっています。
基本情報技術者試験を保有しているITエンジニアがある程度多くなってきた今、さらに他の人と差別化を図りたいと考えている方におすすめの資格です。
全体的な難易度で言えば基本情報技術者とそこまで大差ない資格。基本情報技術者に合格した半年後に、応用情報技術者に合格する人も多く存在します。既に基本情報技術者に合格した方には1番おすすめできる資格です。
応用情報技術者試験も基本情報技術者試験と同様にIT全般に関する知識を必要とする資格です。
基本的には基本情報技術者試験と同様の勉強で合格可能ですが、具体的に何時間勉強すれば良い?おすすめの参考書はどれ?など1から知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
以上2つの基本情報技術者試験と応用情報技術者試験はITエンジニア全員におすすめの資格です。
続いては目指すキャリアプラン別におすすめの資格をご紹介します。
ネットワーク系資格のおすすめ:ネットワークスペシャリスト試験「難易度→高」
総合評価 | ★★★★★ |
---|---|
難易度 | ★★(難しい) |
認知度 | ★★★ |
アピールポイント | 難易度が高いゆえに ネットワークエンジニアとして必要なスキルを保有していることを証明できる |
出題内容 | ネットワーク(インターネット)に関する専門的な知識 |
ネットワークスペシャリストは、IPアドレスやTCP/IPなどといったインターネット通信の仕組みを基本として通信プロトコルの専門的な内容が出題される高難易度の資格です。
合格率は10%台を推移しているため難易度は高いです。しかし、その分ネットワークスペシャリストを取得しているということは大きなアピールになります。
また、本資格はネットワークエンジニアを目指す方以外でも今流行りのフルスタックエンジニアを目指す方も是非取得することをおすすめします。
ネットワークの知識があれば、自分で1からサーバを立てアプリ構築→サービスをインターネット上へ公開するという一気通貫で対応することが可能。
これまでアプリ開発をメインに行ってきた方にとっても非常に有用な資格です!
ネットワーク系資格のおすすめ:CCNA「難易度→中」
総合評価 | ★★★★ |
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難易度 | ★★★★(難易度→中) |
認知度 | ★★ |
アピールポイント | 世界共通の資格→ネットワークエンジニアとして必要なスキルを保有していることを証明 |
出題内容 | ネットワーク(インターネット)に関する基礎知識+Cisco製品に関する基礎知識 |
CCNA (Cisco Certified Network Associate) は、ネットワーク関連機器グローバル王手のシスコシステムズ社が認定するネットワーク系の資格です。
CCNAは世界共通の資格であるため、当該資格は日本国内だけではなく海外でも通用するというのが大きなポイントです。また、ネットワークに関する基礎知識に加えてCiscoの製品知識も問われるのがポイントです。
Ciscoのネットワーク機器は世界で最も幅広く利用されている機器。より実践的なスキルを身につけることが可能になります。
ネットワーク系資格のおすすめ:LinuCレベル1「難易度→中」
総合評価 | ★★★ |
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難易度 | ★★★(中) |
認知度 | ★★★ |
アピールポイント | クラウド時代に欠かせない本質的な技術・スキルを保有していることを証明 |
出題内容 | 物理/仮想Linuxサーバーに関する基礎知識 |
Linuxとは世界中で最も幅広く利用されているOSのこと。LinuCは、Linuxについての知識を保有していることを示すLinux技術者認定試験です。
LinuCは大きく以下3つのレベルに分かれています。
LinuCはOS(オペレーションシステム)に関する知識を習得できるため、そもそもOSって何?コンピュータ(サーバ)はどのように動いているのか?どんな仕組みでコンピュータは動いているのか?といった内容を理解することが可能です。
ネットワークエンジニアを目指す場合、実際の設定内容を見たり変えたりする場合にはこのOSの知識が必須。したがって、ネットワークエンジニアを目指す方であればLinuCも合わせて取得しておきたいところです。
ネットワークスペシャリスト試験/CCNA/LinuCのすべてを取得すれば、アピールになるだけではなく、実際に現場で役立つスキルが磨かれることでしょう。
ここからは最後にWeb/アプリ系のエンジニアを目指す方におすすめの資格をご紹介します。
Web/アプリ系おすすめ資格:HTML5プロフェッショナル認定資格
総合評価 | ★★★ |
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難易度 | ★★★(中) |
認知度 | ★★★ |
アピールポイント | HTML5、CSS3、JavaScriptなど最新のマークアップに関する技術力を証明できる |
出題内容 | HTML5、CSS3、JavaScriptに加えてWebの基礎知識全般 |
HTML5プロフェッショナル認定資格では、HTMLやCSS・JavaScriptの基礎知識を体系的に理解していることを求められます。
またWebはどのような仕組みで動いているのか?ブラウザの仕組みは?APIとは何か?といったWeb全般に関わる基礎知識も合わせて学ぶことができます。
Web/アプリ系おすすめ資格:Oracleマスター
総合評価 | ★★★★ |
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難易度 | ★★★(中~高) |
認知度 | ★★★★★ |
アピールポイント | データベースの仕組み/SQLの基本を理解していることを証明できる |
出題内容 | Oracleデータベース管理/SQLの基本 |
Oracleマスターは、データベース管理に関する業務を行う上で最低限必要な知識を有していることが認定される資格です。
ベンダー系資格の中ではかなりポピュラーな資格です。知名度もあり、受験者数も多いので関連する書籍もたくさん出版されていて勉強しやすいのが特徴です。
Web系/アプリ系ではどのようなプログラミング言語を利用していたとしても必ずデータベースへの基礎知識が必要となります。また、データベースとして最も広範囲に利用されているのがOracleデータベースなので、当該資格を取得していればどの現場でも大きなアピールとなるでしょう。
プログラミング言語に関する資格はある?
ここまで実践で役立つIT系資格をおすすめしてきました。
「HTML5プロフェッショナル認定資格」以外に、例えばPythonやJavaのスキルを専門的に問うようなプログラミング言語に関連する資格は無いの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと確かに「ある」のですが、必ずしもプログラミング言語に限定した資格は取得必須とは言えない現状があります。
プログラミング言語のスキルを客観的に証明する手段は現在のIT業界では以下の2パターンです。プログラミングスキルに関しては、資格を持っているからと言ってもスキル証明やアピールポイントにはならないのが実際のところです。
プログラミングスキルはどうしても試験で判定するのが難しいので、資格としての価値も上がり切っていないと言えます。したがって、それらの資格はおすすめの資格としてはご紹介していません。
ただし、資格がないからと言ってプログラミングスキルを磨く必要がないかと言うとそれは断じて誤りです。もしあなたが本当に「できる最強のエンジニア」を目指すのであれば少なくとも1つのプログラミング言語を圧倒的に磨いていく必要があります。
以下の記事では「プログラミングの学び方」に焦点を当て、おすすめのプログラミングスクールを5つ厳選してお勧めしています。是非ご覧ください。